散歩の八百一話 害虫駆除
これで試験農場の説明は終わり、お待ちかねの芝生広場でのお遊びタイムになりました。
小さな子どもたちは思い思いに芝生を走っていて、その様子をご令嬢が微笑ましく見ていました。
スーと皇太子妃様も子どもたちの様子に笑みを浮かべているけど、僕たちはあることをやらないとならない。
僕は、アオにそっと話しかけました。
「アオ、周辺に十人だな」
アオもこくこくと頷いていて、周囲を見回していた。
本当に懲りない連中です。
すると、僕とアオの様子に軍の偉い人たちも気が付きました。
もちろん、ラストさんとゴリアテさんも僕たちの様子に気が付きました。
でも、遊んでいる面々のことも気にしないとならないので、アオと軍の偉い人の半分、そしてどこからともなくやってきた馬が手分けして過激派を捕まえることにしました。
僕は、芝生広場に残って周囲の監視を続けます。
「わーい、こっちだよー」
「まてー」
そして、芝生広場ではいつの間にか鬼ごっこが始まっていました。
シロは小さい子からひょいひょいと逃げているけど、中々上手に相手をしていますね。
日陰の木の下では、ジョディーさんが子どもたちに絵本を読んであげていました。
常日頃から弟分のノア君を相手にしているので、小さい子の扱いが上手ですね。
そして、スーや皇太子妃様に話しかけている令嬢もいます。
滅多にない機会なので、令嬢も色々聞きたいことがあるのでしょうね。
僕は随行員の面々とゴリアテさんと話をしていたので、流石に話しかけてくる令嬢はいなかった。
そんな中、馬に乗ったアオが僕のところにやってきた。
「ゴリアテさん、不審なものは全て捕らえたようです。探索魔法を使っても、護衛以外で周囲にいる人はいません」
「そうか、それは良かった。しかし、引き続き気を引き締めなければならない」
ゴリアテさんは、部下や軍人にあれこれ指示を出していました。
スーと皇太子妃様も僕たちのやっていたことに気がついていたのか、少し視線を向けていました。
「「ヒヒーン」」
「お馬さんも追いかけっこをするって」
そのうち、馬も追いかけっこに混じっていたけど、これまたうまく小さい子を扱っていた。
アオはスーのところに行って報告した後、令嬢と筆談でお話していた。
どうもアオと話したい令嬢も多いみたいです。
モルガンさんも多くの令嬢と話をしているけど、こっちは仕事の意味合いも大きいでしょうね。
こうして陰ながら不審者を撃退し、僕もホッと一安心です。




