第八百話 試験農場を見学します
「それでは、裏手にある試験農場に向かいます。それが終わりましたら、昼食まで芝生広場で自由時間となります」
「「「おおー!」」」
お遊びの時間が近づいたとあってか、特に小さな子どもたちは目を輝かせています。
でもその前に、きっちり視察を行いましょうね。
正面玄関から、ぐるっと回って建物の裏手に出ました。
すると、一面芝生のエリアの隣にそこそこ広めの畑が広がっていました。
周囲をネットみたいなもので囲っているけど、害獣避けの意味合いもありそうだ。
「ここは、様々な作物の試験栽培を行っています。本日はおりませんが、実際に農家の方に来てもらい意見交換をしています」
試験農場だから少量多品目栽培をしているみたいだけど、ここが将来帝国を支える作物を作っているところか。
病気に強い品種や、量が取れる品種を作る研究をしているそうです。
「ここでは、肥料の研究も行っています。安全安心な肥料作りは、生産力アップに欠かせません。地道な努力ですが、効果が見られるととても嬉しいものがあります」
肥料も、腐葉土に馬糞牛糞肥料など幾つか試しているそうです。
帝国の令嬢も、こういう努力をして作物が出来ているのかととても感心していました。
「皇太子妃様、帝国は本当に熱心に食物の研究をしてらっしゃるのですね。私もとても感心しました」
「ありがとうございます。帝国民は食にこだわりがありますから、美味しいものを作る努力を惜しまないのです」
皇太子妃様がスーにニコニコしながら返答していたけど、確かに帝国の人は美味しいものに目がない印象だ。
その熱意があってこそ、この植物園での研究にもつながっているのでしょう。
そして、今度は農作業で活躍する魔導具が出てきた。
「市販されているものもありますが、畑を耕すもの、雑草を刈るもの、収穫の手助けをするものなど様々な魔導具を研究しています。農作業は重労働なので、負荷軽減をしつつ効率を上げるための研究もしています」
「「「カッコいい!」」」
耕運機魔導具や草刈り機魔導具は、前世にも似たようなものがあった。
魔導具とはいえ、似たようなものを作るなんて本当に凄いと思うよ。
魔法使いが全員土魔法や風魔法を使えるとは限らないし、そういう意味でもとても良いものだといえよう。
随行員の面々も、帰りに市販されている魔導具を購入するそうだ。
僕も幾つか購入して、屋敷の畑で使ってみよう。
魔法とどう違うのか、色々試してみよう。




