散歩の八話 異世界二日目
チュンチュン。
チュンチュン。
「うーん、もう朝か」
朝日が登り鳥のさえずりが聞こえる中、僕はテントの中で目を覚ました。
「むにゃむにゃ、くぅーくぅー」
寝袋の中には、僕に抱きついてまだ寝ているシロとアオがいた。
夜中アオに起こされなかったので、外は大丈夫なのだろう。
狙われやすい食料品とかはアイテムボックスの中に入れているので、匂いもしていないはずだ。
さて、色々と準備をしないと。
シロとアオを起こさないように寝袋から抜け出し、朝食の準備を始めた。
「シュンお兄ちゃん、何か来るよ」
「了解。オオカミだけだね、さっさと倒しちゃおう」
「おー!」
キャンプ地を出発して二時間が経過。
まだ街道の片側に森が続いているので、程よい感じで動物が襲ってくる。
魔法の訓練にもなるし、丁度よい。
昨日に比べると、だいぶ魔法も上手く使える様になった。
僕がエアバレットで数を減らして、シロとアオが突っ込んでいく。
うーん、相変わらずアオは後方支援タイプなのに、突撃が好きだな。
あっという間にオオカミを倒したので、休憩をしつつアオに血抜きして貰った。
「後少しで街に着くな。二時間はかからないぞ」
「本当だね、だいぶ街に近づいたね」
ワールドマップを出して現在位置を確認していると、当初の予想通りにお昼前に街に着きそうだ。
シロと血抜きを終えたアオもやってきて、僕の背中からワールドマップをジロジロと覗き込んでいた。
水分補給もしたので、いざ出発。
「冬とはいえ、歩いていると少し汗かくな。シロは寒くないか?」
「全然寒くないよ!」
ワールドマップの便利な所は、今日が何月何日なのかもわかることだ。
一月の終わりなので寒いといえば寒いが、厳冬って感じではない。
ただ、僕達が向かっているのが南の辺境伯領なので、他の地域よりも暖かいのかもしれない。
そんな事を考えつつ、相変わらず僕の前を楽しそうに歩いているシロを眺めながらどんどんと歩いていく。
街に近づくにつれて、段々と周囲にいる人の数も増えてきた。
周囲の村から繋がっている街道も合流してきたので、商人や旅人の様な人もチラホラと増えてきた。
「そうなの。お兄ちゃんと一緒に冒険者を目指すのね」
「うん!」
「すみません、シロの話し相手になってもらって」
「いいのよ。こんな可愛い子が相手なのだから」
「そうだね。孫みたいで可愛いのよ」
「えへへ」
シロは、いつの間にか前を歩いていたおばさんの集団と話をしていた。
シロの頭の上に乗っているアオと一緒に、冒険者活動が楽しみな事を一生懸命に話している。
おばさん達も、ニコニコしながらシロの話を聞いている。
何だかほんわかする光景だな。