散歩の七百九十六話 見事な庭園
「「「わあ、すごーい!」」」
「とても美しい庭園ですわね」
馬車から降りると、シロやスーたちだけでなく多くの人が感嘆する光景が広がっていた。
植物園は見事なバラの庭園が僕たちを出迎えてくれて、その奥に温室と思わしき建物が建っていた。
想像以上に広いスペースで、僕もアオもちょっと驚きだ。
ちなみに、アオと馬に道中のことを聞くと大した手応えもないものが襲ってきたので暇だったという。
それは護衛の軍人も同じで、やることが全くなかったらしい。
令嬢にアピールできなかったと、別の意味で悔しがっていた
まだまだチャンスはありますよ。
そして、研究者っぽい服装の犬獣人の女性が僕たちの前にやってきた。
眼鏡をかけていて、知的な感じの女性です。
「皆さま、ようこそ帝国植物園へ。僭越ながら、私が皆さまの案内を務めさせて頂きます」
「「「宜しくお願いします!」」」
女性がペコリと頭を下げると、シロたちも元気よく挨拶をしていた。
さっそく庭園から説明に移った。
「皆さまがご覧になっている庭園は、季節を問わず花が咲くようにしております。特に薔薇の花が咲き誇る春は、それは見事な景色になっております」
残念ながら今は夏に近いので薔薇の花は少なめだけど、一斉に咲いたらそれは壮大な景色になるだろう。
秋にも咲く薔薇があるので、秋も他の花と合わさって見事な景色になるそうです。
「また、ここは薔薇の品種研究もしており、品種改良をした薔薇も展示しております。希望する方へは、安定して栽培できるものは販売しております」
流石は帝国立の植物園だ。
そういうことまでしているなんて、現代の植物園と似たようなシステムだ。
これには、随行員の面々もかなり感心していた。
「また、このあと改めて説明しますが、どの肥料が薔薇の栽培に良いのかなどを研究しております。こちらも、安全が確認された情報については開示しております」
プロフェッショナルな仕事ぶりに、改めて感心しました。
思っている以上の研究施設なのかもしれない。
アオも、研究員の説明に何度も頷いていた。
「それでは、建物の中をご案内いたします」
「「「はーい!」」」
最初から予想以上の内容に僕たちが感心する中、いよいよ建物に向かいます。
庭園の美しさを改めて感じながら、シロたちを先頭に僕たちは歩いて行きました。




