散歩の七百九十四話 令嬢たちと自己紹介
朝食を食べたら、着替えを済ませて城の玄関前に移動します。
すると、僕たちと同行する令嬢が玄関ホールに集まっていました。
フランたちくらいの令嬢もいて、中には小さな男の子連れもいました。
まあ、このくらいなら僕たちは全然気にしません。
よく見ると、この前の交流会を兼ねた試食会に参加していた人もいました。
ちなみに、アオとシロたちのチェックはバッチリオッケーです。
さっそく、スーが僕たちの前に歩み出ました。
「皆さま、王国王女のスーザンでございます。本日は私たちのためにお集まり頂き誠にありがとうございます。短い時間ですが、こうしてともに行動できることを喜んでおります」
スーのとても優雅な挨拶に、集まった令嬢は思わず顔を赤らめていました。
でも、この子たちも黙ってはいません。
「「「よろしくねー!」」
シロたちは、元気いっぱいに挨拶をしています。
こっちは、思わずほんわかとしますね。
そして、今日はあるお願いをされていました。
「道中、一緒に馬車に乗って欲しいとのことです。皆さまも、分乗して頂けると助かります」
ベルルさんが恐縮そうに言っているけど、そのくらいは特に問題ありません。
アオと馬に護衛の面々がいれば、道中の安全は確保されたと同じです。
そして、今日は皇太子妃様がスーと一緒に行動するそうです。
先ずは玄関に出ましょう。
ぴょーん、ひょい。
「ブルル」
いつも通りアオがうちの馬に乗って器用に手綱を操っていると、集まった令嬢たちがざわざわとしていた。
うん、普通はスライムが馬を操るとは思わないよね。
そして、随行員の面々も馬車に分乗します。
僕のところには、小さな男の娘を連れた令嬢と、スーと同じくらいの年の二人の令嬢が同乗することに。
そして、何故かこの子も一緒だった。
「ヴィヴィもパパといっしょー」
「「「パパ???」」」
いつも通りヴィヴィが僕の膝の上にちょこんと乗ってきたけど、他の人たちはヴィヴィが僕をパパと呼んできょとんとしちゃいました。
「あの、この子は保護をした子で、何故か僕のことをパパと呼んでいるんですよ」
「パパはパパだよー」
「そ、そうですか。思わずドキッとしちゃいました」
令嬢の一人が、ドキドキしたかのように胸を押さえていた。
うちのヴィヴィがどうもすみません。
すると男の子が、おずおずと僕に話しかけてきた。
「あの、この前のお料理美味しかったです」
「あっ、劇にいた子だよ!」
「後からやってきたよね。どういたしまして」
僕が軽く頭を撫でてあげると、男の子はほにゃりとした笑顔をみせてくれました。
こうして美味しいって言ってくれるのって、とっても嬉しいよね。




