散歩の七百九十二話 今日の報告
城に戻ると、皇妃様が僕たちを出迎えてくれました。
そのまま、何があったかを応接室に移動して報告します。
「「「大きな湖がとっても凄くて、お魚もいっぱいいたんだよ!」」」
「ふふ、喜んでくれてよかったわ。あの湖は、まさに帝国を象徴するものですから」
シロたちが大満足だと体も使って表現すると、皇妃様は満足そうに頷いていました。
とはいえ、本題は妨害行為の件でしょう。
ここは、手短にぱぱっと話さないと。
「妨害はあったのかもしれませんが、全部うちの馬とアオの活躍で撃退しました。馬車が大きく止まることもなく、むしろ馬車内で勉強する余裕もありました。護衛の皆さまも、とても張り切っておられました」
「そう、それなら良かったわ。だいたい何があったかは息子から聞いていたけど、やはり妨害行為があると慎重に動くものも増えますので……」
ゴリアテさん経由で様々な情報が伝わっていたらしいけど、僕たちのことを心配する人たちがいるのも分かります。
王国に迷惑をかけたくないと思っている官僚もいるそうだけど、僕たち的にはこのくらいなら全然問題ありません。
「ちなみに、明日は皇都から一時間のところにある植物園にご案内する予定です。帝国にある植物が、一堂に集まっております」
「「「もちろんいくよー!」」」
シロたちが判断するのではないけど、随行員の面々ももちろん行くと頷いていました。
更に、有力者の令嬢も参加予定なのだから、尚更中止にはできないよね。
ということで、明日は予定通り観光に行くことになりました。
面倒くさい話は、このくらいで終わりです。
「「「あのね、干物をたくさん作ったんだ!」」」
「まあまあ、それは良かったですわね。さっそく夕食に出しましょう」
ということで、さっそくシロたちの力作を夕食で頂くことになりました。
お風呂と着替えを済ませて、時間になったら食堂に向かいます。
「「「おいしー! 身がふかふか!」」」
「うむ、これは良い感じにできているな」
干物は、ムニエルに料理されて出てきました。
半生状態だからこそ、こうした料理ができるのでしょう。
流石は、皇族に仕えている料理人だけあります。
皇帝陛下は、魚料理も問題なく食べるんだ。
明後日の誕生日パーティーに出す料理の選択肢が増えたぞ。
「しかし、シュン殿は外道釣りの達人だったというわけか。いやいや、そんな特技があるとは思わなかったぞ」
「ええ、そうですわね。シュンさんはなんでもできるイメージでしたが、そういうところを知ると親近感が湧きますわ」
そして、シロたちが僕が大量の川フグを釣り上げたと実演付きで話したので、皇帝陛下夫妻に色々と言われてしまった。
僕は、意外となんでもできない人間ですよ。
そして、次こそは食べられる魚を釣ると心のなかで誓いました。




