散歩の七百九十話 食堂で料理を堪能
「結局、一尾も釣れなかった……」
「えー、シュンお兄ちゃんたくさん釣れたよ?」
シロよ、僕が言っているのは食べられる魚の話です。
川フグなんて、毒だらけで食べるところがないじゃないですか……
僕は、思わず手が地面に着くほどどよーんとしちゃいました。
確かに、釣った数はダントツです。
でも、それでは意味がないんですよ。
そして、他の人が釣った食べられる魚は、アオが手早く下処理をしていました。
アイテムボックスに入れて、みんなのお土産にするそうです。
やっぱり、安全のために生食は避けたほうがいいそうです。
「シュンさん、これから美味しい魚料理が食べられますから、元気を取り戻して下さいね」
スーにも声をかけられた僕は、何とか立ち上がってまた二階建ての建物に向かいました。
そして、一階に併設されている食堂に到着です。
既にメニューは決まっているみたいで、席に着くなり直ぐに用意されました。
「「「わーい、お魚のフライだ!」」」
出てきたのは、アジフライみたいに開きにした魚に衣をつけて揚げたものだった。
ご飯もついていて、普通にアジフライ定食みたいですね。
ではでは、さっそく食べてみましょう。
サクッ。
「「「おいしー!」」」
「本当に美味しいですわ。衣がサクサクで、身もふんわりとしてとても美味しいです」
みんなが、一瞬にして笑顔になる美味しさだった。
なんというか、魚の旨味も強くて下手なソースも不要だった。
でも、付け合わせのソースもとても美味しくて、ご飯が進む味だった。
「「「おかわりー!」」」
「はいよ、たんと食べなね」
シロたちは、さっそくご飯のお代わりを頼んでいた。
釣りとかでも動いているし、お腹が空いたんだろうね。
アオも、フライを食べながらどうやって作っているのかと思案していました。
「流石に生魚は提供できませんが、それでもこの湖の魚はどんな料理にも合いますよ」
マグカフさんが絶賛するのもよく分かる。
せっかくだから、明後日の皇帝陛下の誕生日パーティーに何か生かせないかと検討してみよう。
アオも、何か料理を考案中みたいです。
もちろん随行員の面々も美味しいと言っていたけど、どちらかというと貴族の料理よりもこういう庶民的な料理が好きと言っていました。
肩が凝るようなマナーで食べる料理は、やっぱり色々と思うところがあるそうです。
こうして昼食を食べ終えたら、今度はみんなでお土産フロアに向かいます。




