散歩の七百八十九話 食べられる魚を釣りたい
この後は昼食なんだけど、少し時間があるのでできる人で釣りをすることになりました。
スーや何人かは、僕たちが釣りをするのを眺めているそうです。
すると、シロがとんでもないことを言ってきました。
「あのね、シュンお兄ちゃんはぷくーって膨らむお魚を釣る天才なんだよ!」
「「「ぶっ……」」」
シロ、僕は外道釣りの名人ではないですよ。
随行員や護衛の兵が、思わず吹き出しちゃったではないか。
スーも仕方ないって表情だったけど、否定はしていなかった。
トホホってなりながら、僕たちは釣りを始めることに。
「いやあ、久々にやりますな。地元にいる頃は、こうしてよくやりましたぞ」
「私も、こうしてやるのは久々ですな。普段は中々忙しいもので」
地元民のマグカフさんとゴリアテさんが、器用に釣り竿を操っていた。
隣にはラストさんもいるので、これは中々面白い勝負になりそうです。
アオも、シロたちに混じって釣りを始めました。
さてさて、僕はというと……
「かかった!」
ざぱっ、ぷくー。
「またお前かよ!」
またもや釣れるのは川フグばっかりで、他の魚は全く釣れません。
直ぐ側にいる他の人が普通の魚を釣っているのに、いったい何故僕は川フグしか釣れないのだろうか。
ざぱっ、ぷくー。
「だー! どうしてお前しか釣れないんだ!」
「凄い、短期間で十尾釣ったのに全部川フグだ」
「こんな奇跡はあるのだろうか……」
護衛の面々が僕の釣果にある意味驚いているけど、僕だってこの釣果には驚いていますよ。
どうして毎回川フグばっかりなのだろうか……
「殿下、中々やりますな」
「いやいや、そちらこそ凄いですな」
そして、またもやラストさんとゴリアテさんの競争が始まってしまった。
二人とも、どんどんと入れ食い状態で釣っていた。
地元民のマグカフさんもたくさんの魚を釣っているし、シロやアオたちも中々の釣果だ。
ざぱっ、ぷくー。
「おー、釣った数はシュンお兄ちゃんがダントツだね!」
シロよ、釣った数ではなく食べられる魚が釣れるかがポイントなんだ。
どんなにたくさん釣っても、川フグばかりでは意味がないんだよ。
スーも、もはや僕の釣果を見て苦笑するしかなかった。
そんな中、意外な人がダントツの成果を上げていた。
ざぱっ。
「わあ、凄い凄い! また釣ったよ!」
「こう見えまして、釣りをするのが趣味でして」
マイ釣り竿を巧みに操っていたのは、ベルルさんだった。
中々の大物を釣り上げる様子に、シロたちも思わず大興奮です。
しかも、淡々と釣る姿はまさしく慣れている証拠ですね。
ざぱっ、ぷくー。
うん、僕はコイツと切っても切れない関係なのだろうか……
結果的に、釣り上げた数は僕がダントツだったけど全て川フグだった。
もはや、護衛も僕のことを哀れんで何も言いません。
僕だって、食べられる魚を釣り上げたいです!




