散歩の七百八十八話 観光船
「この湖には、大小様々な島がございます。中には、神を祀る祠が建てられているものもございます」
「「「へー」」」
ショートコースとはいえ、館内放送でしっかりと説明もしてくれます。
その度に、シロたちは感心したような反応をしていました。
天気も良いので船首にいると風がとても心地よく、まさに観光日和と言えましょう。
そして、観光船初体験のジョディーさんとノア君も、とても楽しそうにお話していました。
こういうことは、楽しむのが何よりも大切だもんね。
こうして、三十分間の観光船は無事に終了です。
僕たちは、再び港に降り立ちました。
「みんな、どうだったかな?」
「「「楽しかった!」」」
全員いい笑顔で、とってもご満悦って感じですね。
こういう色々な体験をするのも、大切なお仕事です。
ちなみに、アオによって捕まえられたものは僕たちよりも先に船から降ろされました。
なにやら怪しい魔導具を持っていたらしいけど、全部無効化されたという。
どうせ、何かの魔物を召喚するものでしょうね。
さて、まだまだやることはあります。
僕たちは、先ほど体験した加工場に戻りました。
干物作りの作業が残っているからです。
「「「ただいまー」」」
「おかえり、楽しんできたみたいだね。では、続きをやるよ」
「「「はーい!」」」
おばちゃんも、僕たちのことを待っていてくれたみたいですね。
では、さっそく続きをやりましょう。
「塩水に漬けた魚を、もう一回水でよく洗うよ。洗ったら、丁寧に水分を拭き取るんだよ」
再びエプロンを身につけたシロたちが、おばちゃんの指示に従って作業を始めました。
食べ物を扱うだけあってか、普段よりも丁寧な手つきでやっていますね。
「そうしたら、干しかごで魚を干していくんだよ。じっくり乾燥させるのが、美味しい干物を作るコツさ」
「「「おお、そーなんだー!」」」
虫がつかないように専用の干しかごを使うけど、完成までは時間がかかるはず。
すると、マグカフさんがこの後の予定を伝えてくれました。
「昼食を食べて物産展でお土産を購入された頃には、干物もできているかと。その頃にまた伺いましょう」
「「「楽しみー!」」」
流石はこの町が地元なだけあって、マグカフさんは的確な指示を出していました。
今日の天気だと、三時間もあれば美味しい干物ができるそうです。
結構数多く作ったので、アイテムボックスに入れて屋敷にお土産として持ち帰ろう。




