散歩の七百八十五話 今度は加工場へ
更に、簡単な帝国の変遷なども書いてあった。
コンパクトだけど、良くまとまっている資料館だと思うよ。
「説明は以上となります。拙い説明で申し訳ありません」
「とても分かりやすい説明でしたわ。どうもありがとうございました」
「「「ありがとー!」」」
学芸員さんにお礼を言って、資料館を後にします。
そして、今度は隣にある展望室に向かいます。
観光客も普通にいたけど、動線を確保してくれていたのでスムーズに移動できました。
王国から来ている王女様だと分かっているのか、僕たちに声をかけていた。
スーもにこやかに手を振り返していて、シロたちは元気よく返事をしています。
そして、お待ちかねの湖の展望です。
「わあ、建物の上から眺める湖は、また違った眺望で素晴らしいですわ」
「「「すごーい! おっきい! ひろーい!」」」
大興奮しているシロたちの言葉を聞けば、スーの感想もお世辞ではないと分かるでしょう。
天気も良いので水面に陽の光が反射していて、観光船も動いていてとてもいい景色だった。
それに湖が大きすぎて、展望室からでも僅かしか対岸が見えない。
スー曰く、王国にはこんなに大きな湖はないそうです。
実際に湖の近くに行ってみようということになり、僕たちは建物を出ることにしました。
お土産売り場には、帰りに寄ることになりました。
先ずは、船が停泊している桟橋に向かいます。
「ここでは、観光船の定期運航を行っております。説明が終わりしたら、皆さまにも試乗して頂きます」
「「「やったー!」」」
マグカフさんの説明を聞いて、シロたちは思わず飛び跳ねるほど喜んでいます。
周辺を回るだけなんだけど、それでも楽しむのは嬉しいみたいです。
既に漁は終わっているのか、漁船もたくさん停泊していました。
百近くの漁船があり、この湖がとても活気のある漁場だと分かります。
続いて、桟橋のある港に隣接している加工場に向かいます。
「「「わあ、すごいすごい!」」」
「とても手早く魚を捌いておりますね。まるで、シュンさんとアオちゃんみたいです」
「加工品も鮮度が命ですから、痛みやすい内臓を手早く取っております。ここで、干物にしたり練り物にしております」
ここにいるおばちゃんたちは、まさに熟練の作業員なのでしょう。
次々と魚を加工していき、次の過程に運んでいました。
冷蔵するための魔導具もあるけど、高価なので一般的にはこういう加工品が販売されます。
この加工場が、皇都の住人の胃袋を支えていると言っても過言ではないでしょう。




