散歩の七百七十三話 なぜここにいる?!
ドスッ。
うーん、むにゃむにゃ。
昨日は久々にお酒を飲んだなあ。
子どもたちが全員集まっていて、ちょっとベッドが狭いなあ。
さて、今寝相の悪さを披露したのは誰かな?
僕は、ゆっくりと目を開けました。
「すー、すー」
起きてみてびっくり、何とスーの顔のドアップが目の前にありました。
一気に目が覚めたけど、そもそも何でスーが僕の部屋にいるんだ?
僕は静かにベッドから起きて、侍従用の部屋で寝ていたアヤに声をかけた。
トントン。
「アヤ、ちょっといいか? 入るぞ?」
「はい、どうぞ」
ガチャ。
うん、何でアヤは着替え中なのに入室を許可したんだ?
アヤは、下着姿でベッドの上に置かれたメイド服を手に取ったところだった。
僕は、思わずドアを開けた状態で固まってしまった。
「アヤ、いま下着姿なんですけど……」
「はい、その通りです。シュン様がようやく私に欲情したのですね」
アヤ、スタイルの良さは認めるけどその言い方はないと思いますよ。
それに、たとえ侍従とはいえ、無理矢理襲う趣味はありません。
僕は静かにドアを閉めて、アヤの着替えが終わるのを待った。
うん、朝イチから心臓に良くないことが二回続きました。
ガチャ。
「シュン様、お待たせしました」
「今度は、きちんと着替えてから返事をするように」
「なるほど、シュン様は脱がすのがお好きなのですね。おや、お嬢様がベッドにおられますね?」
どうしようもないボケはスルーしつつ、アヤもスーの存在に気が付きました。
うーん、どうもアヤが知らないうちにスーは部屋に入りこんだみたいだぞ。
コンコン。
「失礼します、こちらにお嬢様……居ましたね……」
すると、アイも部屋の中に入ってきました。
うん、入ってきたということは、部屋の鍵がかかっていなかったということになりますね。
「アヤ、この部屋の鍵は掛けたよね?」
「当然でございます。二十四時間の警備がついているとはいえ、そんな危ないことはいたしません」
ということは、以前と同じく寝ぼけたスーが解錠魔法で部屋の中に入ってきたんだ。
念の為に、部屋の前で警備をしている人に聞いてみましょう。
「その、夜中にスーザン殿下がのそっと部屋から出たと思ったら、あっという間に部屋の鍵を解錠して中に入られました。直ぐに寝たので、危険はないと判断しました。ただ、国賓が泊まる部屋ですので簡単に部屋の鍵が解錠できるはずがないのですが……」
おお、警備の兵も困惑した表情です。
アオがしっかりと状態異常回復魔法に解毒魔法もかけてから睡眠魔法をかけたのに、スーはそれを全て突破したんですね。
本当にスーがご迷惑をおかけしました。
そろそろ全員起こす時間なので、侵入犯に声をかけよう。
「あー! スーお姉ちゃんがこっちの部屋で寝ているよ!」
「「「えっ? あっ、本当だ!」」」
あっ、シロの声でみんな起きちゃった。
ちょっと頭が痛いなあと思いながら、僕たちは部屋に戻りました。




