散歩の七百七十一話 自分の身の安全が大事です
そして、一回スーを止めないとならない。
そう思って、僕は皇帝陛下とスーに声をかけました。
「あの、皇帝陛下もスーも、そろそろ挨拶の時間になりますよ。一旦その辺で」
「おお、そうだったな。一旦止めるとするか」
「とても残念ですけど、先にお仕事をしないといけませんわね」
すごく残念そうにしながら二人が席から立ち上がったけど、この分だと皇帝陛下もかなりの酒豪みたいです。
そして、来賓の挨拶を受けるのだけど、ご褒美のためにやる時はやる二人です。
もう、見事なくらいの挨拶対応をしております。
「流石はスーザン殿下ですな、多くのものを治療したとさっそく噂になっておりますぞ」
「まあ、それは大変名誉なことです。ありがとうございます」
時々来賓からは年齢の割に妙に色っぽいって言われているけど、スーは単純に酔っ払っているだけですからね。
シロたちはお酒が嫌いなので、僕を盾にしてスーに近づかないようにしています。
そこまでしなくても、きっと大丈夫だと信じたいです。
「えっとね、もう少しで終わるけどシロだけいれば大丈夫だよ」
「「「一緒にいる!」」」
元々名誉男爵のシロだけいれば良いんだけど、フランたちも離れないようにと一緒にいます。
因みに、ジョディーさんとノア君もスーの酒癖の悪さに気がついたみたいです。
こうして何とか挨拶を終えて、僕たちは席に戻りました。
でも、僕を盾にしてスーから隠れていますね。
「ふう、やっと終わったぞ。では、飲むとするか」
「ええ、お仕事も終わりましたし、ここからお楽しみですわね」
そして、皇帝陛下とスーはいい笑顔でワイングラスを手にしました。
この分だと、暫くお酒を手放さないだろうね。
僕は、シロたちにご飯を食べさせることだけに専念しよう。
随行員の面々も、シロたちのテーブルに移動しました。
「あっ、このお肉とても美味しいよ」
「お野菜も美味しいの」
「もぐもぐもぐ」
フランたちも、アヤとアイにお肉を切り分けて貰って美味しそうに食べています。
というか、アヤとアイは主人であるスーのそばにいなくて良いんですか?
「「……」」
はい、分かりましたからニコリとしながら圧力をかけないで下さい。
アオもこっちのテーブルにいて、チラチラとスーの様子を見ていました。
うん、皇帝陛下がものすごい酒豪で助かった。
スーのペースに合わせて、どんどんとワインを飲んでいます。
こうして、表面上は何とか平穏に歓迎会は終わりました。
うん、勝負はこれからです。




