散歩の七百六十六話 奉仕活動開始
僕たちの前に聖職者が並んで準備しているけど、種族は千差万別です。
獣人が多いなって印象を持っているけど、帝国の人種を表しているみたいです。
そんな中、とても高貴な司祭服を着た聖職者が僕たちの前にやってきました。
大柄の豚獣人で、見た目はオークみたいですね。
「はあはあはあ、お、皇太子妃様、スーザン王女殿下、お、お待たせして申し訳ありません」
「枢機卿様、お願いしたのは私たちですから」
「お忙しい中、恐れ入ります」
二人が恭しく頭を下げたので、僕たちも合わせて頭を下げています。
馬車に固定する馬具を外した馬も一緒に頭を下げているけど、ちらっと見た聖職者がかなり驚いていた。
そして、枢機卿の案内で教会に入って行ったけど、馬は門番みたいに構えていますね。
「いやはや、お迎えの準備中に急に高位の聖職者が倒れたものでして。寝ているので、問題はないと思われますが」
「それは大変でしたですね、人神教の手先が倒れるだなんて」
「はっ!? 人神教の手先?」
ニコリと話す皇太子妃様に、枢機卿は真顔で固まってしまいました。
なおもニコリとしながら、皇太子妃様は話を続けます。
「失礼ながら、安全のために協会内を探索魔法で確認させて頂きました。私たちを監視しているものもいるみたいですし、こっそりと倒させて頂きました」
「こ、これは申し訳ありません。直ぐに二人を取り調べます」
枢機卿はハンカチで汗を拭きながら答えていたけど、アオ曰くどの組織に所属しているのかを記した紙を胸元に置いたそうです。
念のためにもう一回教会内を調べたけど、今は大丈夫みたいです。
では、最初に神様にお祈りを行います。
神様や女神様の像は、各国共通なんですね。
こうしてお祈りを済ませたら、早速奉仕活動の準備を進めます。
「では、私たちは治療の準備を進めます。皇太子妃様は、いつも奉仕活動をされているのですか?」
「ええ、時間がある際に行なっております。初級レベルですが、回復魔法が使えますので」
スーと皇太子妃様が分担について話をしているけど、こちらは予定通り治療班にホルンとヴィヴィにアオ、炊き出し班に僕とジョディーさんとノア君が付きます。
食材も念のために確認したけど、毒の入っているものはなさそうです。
水も、安全のために水魔法で作ったものを使用します。
ラストさんがスーのところについているけど、ゴリアテさんの姿がなかった。
どこに行ったのかなと思ったら、既に教会前で活動を始めていた。
「あっ、この人スリをしたよ!」
「ヒヒーン」
「よし、こいつを引っ捕えるのだ」
「な、なんで分かったんだ」
うん、既にフランとシロが馬に乗って不審者を捕まえ始めていました。
ゴリアテさんがいるので、兵も直ぐに不審者を連行しています。
もう一頭の馬は、不審者は通さないぞと門の前に立っていました。
チラチラと僕の方を向いているけど、後で頑張ったらご褒美をあげますよ。




