散歩の七百六十四話 謁見が終了
これで謁見は終わるのかなと思ったら、過激派とは全然別件で皇帝陛下にお願いする人がいた。
貴族服の上からでも分かるくらい筋肉ムキムキで、如何にも武道派って感じです。
「畏れ多くも、陛下にお願いがございます。王国の武道大会で優勝したという、摩訶不思議なスライムとの対戦を許可して頂きたく」
「おお、そなたもか。実は他にも対戦したいというものがおってな、別途連絡しよう。今朝この目で見たが、少なくとも我が息子を圧倒するレベルだ」
「願いを叶えて頂き、誠にありがとうございます。それほどの強さなら、ますます興味を持ちました」
あの、アオと戦いたい人がそんなにいるなんて知らなかったよ。
当のアオはやる気満々だし、ラストさんも帝国の強者と手合わせしたいと気合を入れていた。
こうして謁見は何とか終わり、応接室に移動することになりました。
「アオばっかりいっぱい戦うなんて、とっても羨ましいよ……」
「フランも戦いたいよ!」
応接室に移動すると、シロとフランがブーブー文句を言っていました。
二人は国賓扱いなんだから、そう簡単に帝国の人と手合わせできないよ。
そして、ベルルさんがこの後のことを話してくれました。
「この後ですが、皇太子殿下夫妻との会食後、予定通り大教会での奉仕活動に移ります。その際ですが、皇帝陛下と皇太子殿下、ヤナセ様が随行員の方々と話をしたいと申しております」
奉仕活動はスーがメインだし、この辺の難しい話は随行員の面々で引き受けてくれるそうです。
護衛を兼ねて、ラストさんとゴリアテさんは僕たちに付いてきてくれます。
もちろん警備もバッチリだけど、一つだけ懸念点があります。
「大教会で行いますので、過激派が何かをしてくる可能性があります。その点、ご注意下さいませ」
「ご配慮頂き、ありがとうございます。念の為に、アオちゃんを私と皇太子妃様の護衛として張り付かせますので」
ベルルさんも、アオの強さは良く分かっています。
それに、アオも要人警護は任せろと張り切っています。
シロたちがアオのことをまたまたいいなと言っているけど、あなた達は守る側じゃなくて守られる側ですからね。
こうしてこの後の流れも確定したので、一旦部屋に戻ります。
バサッ。
「「「「疲れた……」」」」
「はいはい、分かったからドレスを着たままベッドに飛び込まないの」
ようやく緊張から解放されたのか、シロたちは珍しくかなり疲れていました。
アヤも思わず苦笑いしたけど、この後は外に出るのでドレス姿から動きやすい服装に着替えます。
グダグダしていないで、早く着替えましょうね。
残念ながら、僕とスーは貴族服とドレスのままだそうです。




