散歩の七百六十三話 謁見の始まり
すると、スーが僕のそばに寄ってきました。
そして、僕の服を直し始めました。
「ちょっと服がよれています。これで、良いですよ」
スーはいつも通り何気なくやっているみたいだけど、随行員や他の面々から微笑ましい目で見られていました。
シロたちやアヤたちは、いつものことだと特に気にしていませんでした。
そして、ベルルさんが僕たちを出迎えてくれました。
「それでは、皆さまを謁見の間にご案内いたします」
「「「はーい」」」
シロたちも、僕の後に並びました。
因みに、スーが一番最初で随行員の面々が並んでその後に僕たちが並びます。
小さい子どもがいるから、こればっかりは仕方ないですね。
謁見には多くの人が来ているらしいけど、例の過激派は登城禁止になっています。
廊下を進んでいくと、豪華な装飾がされている大きな扉の前に到着しました。
国として威厳を示す必要があるのは、王国も帝国も同じですね。
「ヘーゼルランド王国王女スーザン殿下、並びに随行員の面々が入場されます」
そして、暫く待っていると係の人のアナウンスがあり、豪華な扉がギギギと音を立てながらゆっくりと開いていきました。
僕たちも姿勢を整えながら、ゆっくりと中に入っていきました。
中央に赤い絨毯が敷かれていて、その両脇に多くの人が並んでいました。
一段高くなっているところに王族が集まっていて、玉座に皇帝陛下が座っていました。
絨毯の切れ目までスーが進んでいき、そして膝をついて頭を下げます。
シロたちも、キチンとできているみたいですね。
「一同、面を上げよ」
皇帝陛下が、威厳たっぷりに僕たちに話しかけた。
こういう公の場で発する言葉を聞くと、やはり皇帝陛下は凄い人だと感じた。
そして、スーが代表して挨拶を行います。
「ヘーゼルランド王国王女、スーザンでございます。皇帝陛下のご尊顔を拝謁でき、恐悦至極でございます」
「スーザン殿下、遥々王国より参られ大義である。この度の貴殿の訪問が、帝国と王国の架け橋になることを期待する」
「もったいないお言葉でございます」
流石というか、スーはよどみなく話を進めていた。
皇帝陛下も、スーの話を聞いて満足そうに頷いていました。
そして、今後の日程が発表されました。
今日は予定通り教会の奉仕活動と夜会が行われ、明日は帝国の文化交流が行われます。
その後、帝国の名所を案内されたりした後、メインイベントの皇帝陛下の誕生日パーティーが行われます。
その後の予定は変動あるけど、誕生日パーティー後は三日間の予備日が設けられます。
全て、過激派の動き次第ですね。




