散歩の七百六十一話 アオとゴリアテさんの手合わせ
さっそく、アオとゴリアテさんが向かい合わせになりました。
ゴリアテさんは上半身裸の短パンスタイルで、なんというか全身の筋肉がやばいくらいになっていた。
明らかに、一年前別れた時よりも体が仕上がっていた。
アオも、いつも通りに体をふにふにとさせながら準備運動をしています。
そして、準備が出来たところで手合わせを行います。
何故か僕が審判だけど。
「ルールは、身体能力強化ありの武器なしです。放出系魔法や補助魔法は無しです。五分間一本勝負です」
「「「アオー、頑張れー!」」」
ルール説明の後にシロたちがアオに声援を送っていたけど、アオも触手をふりふりとして声援に応えていた。
そして、両者が向かい合った。
「それでは、始め!」
ザッ。
開始の合図を送っても、両者は向かい合ったままだった。
しかも、ゴリアテさんは聖魔法を身にまとうスーパーゴリラーマンモードに入っていない。
なので、最初は身体強化魔法をそこまで使わないで戦うつもりだを
しかし、スライムでもあるアオの発する圧力が凄くて、ゴリアテさんだけでなく皇帝陛下を始めとする皇族も思わず息を呑んでいた。
ダッ、バシッ。
「ぐっ……」
そして、最初に動いたのはアオの方だった。
長距離からの跳躍を駆使した体当たりだけど、それでもゴリアテさんは受け止めるのが精一杯だった。
その後もアオの攻撃は容赦なく続き、ゴリアテさんは完全に防戦一方だった。
誰もが目を離せない、激しい攻撃だった。
しかし、そんな攻防も残り二分というところで止まった。
というか、アオが攻撃を止めて距離を取った。
そして、触手でちょいちょいと掛かってこいってゴリアテさんを挑発していた。
「うおおお!」
シュイン、ピカー!
「「「おおー、スーパーゴリラーマンだ!」」」
ゴリアテさんが吼えると、一気に毛並みが黄金色に輝き出した。
その姿に、シロたちも大興奮です。
そして、一気にゴリアテさんがアオとの距離を詰めます。
「うりゃー!」
ヒュン、スカッ。
ゴリアテさん渾身の蹴りを、アオは余裕を持って避けていた。
しかも、最小の動きでだ。
傍目には、ゴリアテさんの蹴りがかすったのではと思うぐらいだった。
その後もゴリアテさんは怒涛の攻撃を繰り出したが、全てアオが最小の動きで避けていた。
「時間です、そこまで」
「はあはあはあ……」
ゴリアテさんは、大汗をかきながら息も荒く膝をついていた。
アオの方はというと、まだまだ余裕だといった感じです。
誰がどう見ても、アオの圧勝だった。
しかし、ゴリアテさんは何か吹っ切れたような表情をしていた。
「目指すべき目標がこうして分かっただけでも、私は幸せと言えるでしょう。訓練のしがいがあります」
アオの強さを知って、ゴリアテさんも新たな目標ができたみたいです。
アオも、ゴリアテさんはまだまだ強くなると確信していました。




