散歩の七百五十六話 城の応接室へ
そして、ゆっくりと馬車は城の中に入って行った。
玄関前に着くと、馬車が停車した。
「皆さま、お疲れ様です。応接室にご案内いたします」
「「「はーい」」」
ようやく緊張が解れたのか、シロたちにも笑みが戻ってきた。
使用人の先導で僕たちは城の上の階に上がっていき、そこの応接室に案内された。
城の中でもこれだけ上のところっていうと、帝国皇帝の家族が住むところに近いはずだ。
そんなことを思いながら、僕は出されたお茶を口にした。
「はあ、精神的にどっと疲れた。まさか過激派がここまでやってくるとは思わなかったよ」
「そうですね。でも、今はこうして無事に帝国皇都にに着いたことを喜びましょう」
思わずソファーの背もたれに背を預けた僕に、スーが苦笑しながら話をしていました。
無意識のうちにずっと気を張っていたらしく、力が抜けちゃいました。
シロたちは出されたお菓子を美味しそうに食べていたけど、昼食前だから程々にしなさいね。
そして、先ほど僕たちを出迎えてくれたベルル執務官が、この後の僕たちの予定を教えてくれた。
「この後、皆さまの歓迎を兼ねての昼食会が開かれます。夕食会は、また改めて行う予定でございます」
昼食が食べられるとあってか、シロたちも思わずニコリとしていた。
随行員の面々も、ようやく表情が少し明るくなった。
それまで、もう少しゆっくりすることに。
「ここは皇族のプライベートエリアに近く、許可されたものしか近寄ることはできません。過激派は立ち入りを許可されておりませんので、ご安心下さい」
「そもそもなんですけど、過激派って人数が多いんですか?」
「数にすると、十家くらいでしょうか。無視することもできますが、意外と長い歴史を持つものもおります」
うーん、中々扱いに困りますね。
ベルル執務官も、かなり悩みながら話してくれた。
帝国にとっても、こういう存在はどうにかしたいという。
王国でも、人神教関連で大変な目にあっていたもんなあ。
とはいえ、帝国のことだから僕たちが下手に関与できないので、暫くは我慢ですね。
もちろん、直接攻撃されたら思いっきり反撃します。
そして、その間にシロたちがベルル執務官に色々と話していました。




