散歩の七百五十五話 バタバタした皇都到着
再出発して二時間、遂に帝国の皇都に到着しました。
王国の王都と町の作りは大きく変わらず、大きな防壁に囲まれた中に町が構成されていて、中央に大きな帝国のお城がそびえ立っていた。
そして、防壁の門での手続きの際に僕たちを襲ってきた不審者を引き渡すと、にわかに帝国兵が慌てだした。
「ま、マグカフ様、襲撃に遭ったというのは本当ですか?」
「うむ、本当だ。後ろの幌馬車に襲撃者を乗せている。どうも、誰かから依頼を受けたそうだ」
「な、なんとそんなことがあったのですか……」
帝国兵の偉い人は、マグカフさんから話を聞いて驚いて、幌馬車の中に入っていた襲撃者の数を見て更にびっくりした。
帝国兵が手分けして幌馬車から襲撃者を運び出している間に、城からの使者が僕たちのところにやってきた。
ネズミ獣人っぽく、背は小さいけど体格はシッカリとしていた。
「ま、マグカフ、待たせて申し訳なかった。なっ、なんだこれは!」
「ベルル執務官、わざわざご足労頂き感謝します。つい二時間ほど前に襲撃を受けまして、その際に捕縛したものになります」
「なんと、軽く話は聞いていたがこんなにも大勢で襲撃するとは。王国に対しても、本当に申し訳ない」
どうやらこのベルル執務官は僕たちが襲撃を受けたのを知ってはいたけど、三十人を超える襲撃を見て顔色を変えていた。
更に、スーが馬車を降りると、土下座しそうな勢いで謝ってきた。
「スーザン殿下、国賓を危ない目にあわせる事態になり本当に申し訳ない。私からも、深く謝罪します」
「ベルル執務官、私は事を荒立てることはしたくないと思っております。後の処分は、帝国に一任いたしますので」
「はっ、畏まりました。関係者を探し出し、厳しく罰します」
スーに臣下の礼を取りながら、ベルル執務官は強く決意を語っていた。
そして、城までいく短い間だけど兵により厳重に警備を受けることになった。
実際に襲撃を受けているので、この皇都でも何が起きるか分からないという判断です。
こうして、僕たちはゆっくりと城に向かい始めました。
物々しい警備になったので、流石にシロたちも大人しくしながら馬車の窓から街並みを眺めていました。
町の人たちは、物々しい警備を受ける馬車を遠巻きに眺めていました。




