散歩の七百五十一話 無事に街道が復旧
アオが土魔法を使ってガンガン街道を補修している間、シロたちが少し不貞腐れていました。
「ぶー、シロもお手伝いしたかった……」
「僕たちはあくまでも国賓だし、シロも国賓なんだよ。だから、自由に動けるアオに冒険者活動として頼んだんだよ」
「ぶー」
シロに限らず子どもたちはお手伝いが好きだし、困ったことがあったら何とかしたいっていう気持ちも良く分かります。
でも、流石に国賓云々以前に危険な現場なので手伝わせることはできません。
不満そうだけど、我慢することも勉強のうちです。
「しかし、あのスライムはとんでもない。あのレベルの路面崩壊を、あっという間に直していくとは」
「バッハ様、あのスライムが王国の北の辺境伯領で行われた武道大会のチャンピオンです。皇帝陛下も、あのスライムとの戦いを希望しております」
「うむ、私もあのスライムの強さを存分に知ることができた。少なくとも、とんでもない魔法使いであることは間違いなさそうだ」
バッハ様とマグカフさんも、あっという間に直っていく街道を見て改めて度肝を抜かれていた。
随行員の面々も、改めてアオの非常識さを実感したみたいだ。
ラストさんは、アオと力試しをしてみたいと言っていた。
きっと良い勝負になると思います。
こうして、一時間で復旧作業も無事に完了しました。
無事にやり終えたと、満足そうにアオが戻ってきました。
そして、バッハ様にサッと自分の冒険者カードを見せていた。
「本当にスライムが冒険者なんだな。しかも初心者ではなく上級者とは恐れ入った」
バッハ様も、アオのことをとても褒めていた。
そして、間違いなくマグカフさんが雇った冒険者が街道復旧作業をしたと処理をした。
国賓である僕たちが、下手に帝国のことに手を出さなくて済んだことになった。
こうして馬車旅は再開し、予定よりも少しだけ遅れて帝国直轄領に到着した。
道中色々あったけど、こうして無事に到着して何よりです。
「旅も折り返しになりますが、明日は少し気になるところを通ります。というのも、過激派の領地のすぐ近くを通ることになるためです」
「うーん、何をしてくるか分からないから、本当に気をつけないと駄目ですね」
「本日の街道工事の件も何か言ってくる可能性もあります。十分に気をつけて下さい」
マグカフさんはかなり注意してきたけど、やはり皇都に近づくに従って面倒臭い人との接触が避けられなくなる。
相手の出方次第だけど、何が起きても対処できるように準備をしておこう。




