表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/1075

散歩の七十一話 予期せぬトラブル

 道中は魔物も皆で交代で倒していき、トラブルもなく一日目の宿泊地に到着。

 ここも小領地なので宿の選択肢がなく、皆同じ宿に宿泊となる。

 宿の予約をして、ギルドで道中狩った獲物を売却する。

 宿に戻ってさあ夕食という所で、大問題が発生。


「は、腹が痛い……」


 そう、宿の主人がお腹を壊してしまったのだ。


「食あたりですね。少し古いお肉を食べたのが原因の様です」

「体力を消費しているので、治療後も安静が必要です」

「う、うぐぐ……」


 実は宿の主人だけでなく従業員全員が食中毒になっていた。

 全員直ぐにスーやうさぎ獣人の奥さんから治療を受けたのだが、何回もお腹を下してヘロヘロ状態。

 勿論お腹下して衛生的にも問題があるので、調理も頼めない。

 かといって、この領地には他に食堂もないという。

 うーん、東の辺境伯領に接していて立地的に好条件なのに、何でここまで領地運営ができていないのだろうか?

 その答えは、老夫婦の旦那が答えてくれた。


「残念な事に、ここの領主は代々残念な奴ばっかりじゃ。何回も利用しているが、一向に状況が改善せん!」

「えー、マジですか……」


 おじいさんが怒ったように言っているけど、限りなく統治能力がないのだろう。

 少し頭がまわれば、発展するチャンスなのに。


「さて、既に市場も閉まっているので出来合いのものも買えません。ここは作らないといけませんね」


 僕がそんな話をすると、全員顔が青くなっていく。

 あの、もしかして……


「えっと、この中で料理ができる人は?」

「「「さっ」」」

「えっ……」


 僕が全員に料理ができるかと聞いてみたら、全員が一斉に顔をそらした。

 うさぎ獣人の奥さんや老夫婦のご婦人も、料理ができないんですか!


「シュンお兄ちゃん、シュンお兄ちゃんの料理が食べたいな」


 そして、ニコニコと笑いながら僕の事を見上げるシロとアオ。

 僕は改めてガックリとしながら、料理を作る事に。


「シュンお兄ちゃん、何を作るの?」

「時間がないから、パスタとスープとサラダにしよう」


 ここまでの間に乾麺を売っている所があったので、今日はパスタにする。

 パンも念の為に出しておこう。

 お腹を下している人の為にスープは薄味にしておいて、それ以外の人は塩を足せる様にする。

 ご老人向けに、肉は小さく薄く切って食べやすい様にしよう。

 手伝ってくれるのはアオだけ。

 他の人は、じーっと僕とアオの料理をする姿を眺めている。


「にいちゃんは、料理もできるのか」

「様々な料理を作っているね」

「ハンバーグも作ったというが、まるで料理人じゃな」

「お肉を薄く切ったりと、私たちにも配慮してくれていますね」


 急いで作った割には良くできたかなと。

 そして皆で料理を頂きます。


「シュンお兄ちゃんの料理は、いつも美味しいね」

「そうね。この前のハンバーグも美味しかったし、本当に料理が上手だね」


 シロとスーも料理を美味しそうに食べてくれるけど、やっぱりギルドで料理講座を開いてもらいたいな。

 獣人夫妻は、ガツガツ食べてくれているから問題なさそう。


「パスタにショウユを使っているのか?」

「はい。隠し味程度にですが。本来はバターもあればなお良かったのですが」

「とても美味しいわ。本当に料理人みたいだわ」


 老夫婦は、隠し味も当てていた。

 お肉も薄切りにしたので、全部食べてくれた。


「いやあ、一時期はどうなるかと思ったけど、にいちゃんが居てくれて良かったわ」

「ふむ、何でも出来るのは素晴らしいな。それでいて、ゴブリンハンターの称号も持つとはな」

「ええ。性格も素直そうですし、とても良い人ね」


 うーん、何だか僕の評価が爆上がりしているぞ。

 何だか少しこそばゆいな。


「シュンお兄ちゃん、また料理を作ってね」

「機会があったらね。逆にシロとスーにも料理の作り方を教えて上げるよ」

「是非お願いします。流石に毎回シュンさんに負担をかけっぱなしは良くないと思ったので」


 シロとスーも、料理に興味を持ってくれた様だ。

 失敗してもアオが消化してくれるし、何にでもチャレンジするのは良いことだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ