散歩の六百九十四話 最後の随行員が決定
そして、最後の随行員が決まったと連絡を受けたので、僕たちは着替えて王城に向かいました、
最後に決まった人は、文官だそうです。
「スーザン殿下、お久しぶりでございます」
「「「おー」」」
パチパチパチ。
王城の応接室にいたのは銀髪のセミロングヘアの如何にもイケメンという男性で、スーに近づくと膝をついて右手をとって手の甲に口づけをした。
余りの自然な所作なので、僕は呆気に取られてしまった。
シロたちは、何故か褒めるような拍手をしているけど。
とりあえず、座って話を聞きましょう。
「皆さま、ハーデス伯爵家のモルガンと申します。以後、お見知りおきを」
「あの、モルガンさんは昔からこういう人なんです。とても物腰が柔らかいというか、女性の扱いに長けているというか。あっ、婚約者がいるので浮気とかは一切しませんから安心して下さい」
「浮気なんて、人としての恥です。女性を大切に扱うのと、同列にしないように」
あくまでも女性を大切に扱うだけであって、好きな人には一直線って性格か。
シロたちやアオも普通にしているし、所作はともかくとして悪い人ではなさそうです。
「モルガンは情報通だ。様々な情報を色々な形で聞き出して、有効活用する能力に長けている。他の者とともに、息子の右腕になる予定の存在だ」
「私は、私の出来ることをして殿下をお支えいたします。今回帝国で皆さまをお支えすることで、私も良い経験になると確信しております」
陛下も認める情報通だとなると、本当に凄い人で間違いなさそうです。
若干アオがやきもちを焼いているけど、アオも諜報活動は得意だからなあ。
一人と一匹が力を合わせたら、どんな情報でも筒抜けの気がするよ。
「それと、あくまでも主役はスーザン殿下でございます。私たちは、スーザン殿下が動きやすいように支えるのが任務となります」
「確かにそうですね。僕たちも、スーが動きやすいように頑張らないとね」
「「「頑張る!」」」
モルガンさんの言う通り、あくまでも僕たちはスーの随行員であって、主役はスーだ。
シロたちも改めて分かってくれたし、これで大丈夫ですね。
「ふむ、これで大丈夫だな。では、シロたちは孫と共に勉強の時間だ」
「「「えー」」」
陛下、狙って言ったのでしょう。
元々、顔合わせの後はジェフちゃんとお勉強の時間ですよ。
ということで、スーはこの場に残って僕たちはいつもの勉強部屋に移動しました。
ちなみにジェフちゃんもモルガンさんは良い人だって言っているし、もしかしたらあの所作で女性の警戒心を解いて情報を聞き出しているのかもしれないね。




