散歩の六百九十二話 もっと強くなりたい
随行員としてラストさんが決まった後、シロたちにある変化が起きていました。
「「「「もっと強くなりたい!」」」」
だそうです。
というのも、王城での手合わせでラストさんに勝てなかったのがよっぽど悔しかったみたいです。
でも、僕もスーも、もちろんアオも意気込みは買うけど注意をします。
「みんなまだまだ成長するんだから、徐々に強くならないといけないんだよ。ラストさんは僕と同じ年だし、それだけ長い間鍛えていたんだから」
「体も、いきなり大きくはならないのよ。だから、今はまだ気にしなくてもいいのよ」
「「「「うー」」」」
シロたちは、分かっているような分かっていない雰囲気ですね。
とはいえ、この年ではかなりの強さを誇っているのは間違いありません。
装備も良いものを使っているし、何よりもラストさんの時は強力な魔法を全開にしてはいません。
ということで、アオが講師となってジョディーさんとノア君も混じって魔法の勉強を強化することになりました。
といっても、最初は六人が手をつないでの魔力循環です。
「ひ、人が増えると難しいよー」
「こ、これは大変ですね」
ノア君とジョディーさんが悪戦苦闘しているけど、それはシロたちも同じです。
魔力循環は人が増えるとそれだけ難しくなるので、日々の訓練に追加することになりました。
「先ずは、魔力循環を更にもう一段階高めることだね。そうすると、今よりも身体能力強化も上手に使えるようになるよ」
「「「「頑張る!」」」」
何とかシロたちのご機嫌も良くなったので、これでどうにか大丈夫でしょう。
もしかしたら、帝国に行く間は毎日ラストさんと手合わせする可能性がある。
でも、ラストさんなら喜んで対応するかもしれないですね。
朝の訓練を終えて、朝食を食べながら今後の事を話すことになりました。
「明日、残り二人の随行員と顔合わせをするわ。そして、一ヶ月後に王都を出発して東の辺境伯領に向かうことになったわ。ちょうど花見祭り前に、東の辺境伯領に着く予定よ」
「「「「お祭り楽しみ!」」」」
シロたちよ、東の辺境伯領に行ってお祭りを手伝うわけじゃないよ。
あくまでも早めに行って、帝国に行くタイミングを見計らっているだけだよ。
でも、時間があったら祭りを楽しみたいなと思っています。
「じゃあ、今日は屋敷で勉強する日よ。頑張りましょうね」
「「「「「はーい」」」」」
「くすくす」
ノア君も一緒になって、シロたちと元気よく手を上げています。
ノア君もとても仲良くなって、ジョディーさんも微笑ましいですよね。
ではということで、引き続きアオがみんなの先生を務めます。
その間は、僕とスーは屋敷の改装の件でワイアットと話します。
使用人用のスペースも、良い感じになって欲しいですね。




