散歩の六百五十五話 奸臣を撃破
シュイン、バシッ!
「もう、対策はできているんだよ」
「グッ、グガ?」
突然バインド魔法で拘束されたので、異質なものとなったゼノバース子爵は無理矢理動こうともがいていた。
そんなゼノバース子爵に向けて、僕は溜めていた魔力を一気に開放した。
シュイン、シュイン、シュイン、ぴかー!
「グォォォーーー!」
異質化したゼノバース子爵目掛けて浄化魔法を放つと、ゼノバース子爵は光に包まれてもがき苦しんでいた。
そして、浄化の光が止むと気絶して白髪となり、顔もしわしわになったゼノバース子爵の姿があった。
すかさず、近衛騎士がゼノバース子爵を拘束して連行していった。
ふう、魔力を沢山使ったので結構疲れてしまった。
でも、僕はまだやる事があります。
先ずは、魔導具が放つ障壁の中で守られている貴族に話しました。
「あれが、闇組織レッドスコーピオンにくみした者の成れの果てだ。違法な薬を飲むと一時的に強くなるが、既に対策は取られている。後は、燃えカスのようになるだけだ」
「「「おお……」」」
貴族は、目の前で起きた事をまだ飲み込めなかった。
でも、無理矢理納得して貰いましょう。
少なくとも、ここにいる人はある程度は問題ないと判断された貴族なのだから。
この場は近衛騎士に任せて、僕は王族と上級貴族のいる上の階に向かった。
「おお、シュンか。魔法の反応がしたでも起きたから、何があったのかと思ったぞ」
上の階に上がると、西の辺境伯様が僕たちを出迎えてくれた。
やはりここでも異質化した貴族が三人もいたのだが、なぜか一人は異質化したままだった。
その理由は、スーが教えてくれました。
「その、私はバインド魔法を放っただけで、他の方が浄化魔法を放ってくれました。西の辺境伯様とお義母様が、一人をボコボコにしていました……」
わお、血の気の多い西の辺境伯様は分かるけど、まさか王妃様も物理攻撃を加えていたとは。
そりゃ、絶対に異質化してもかなうはずがないですね。
ある意味、貴重なサンプルになるかもしれません。
すると、鉄扇を手にした王妃様が僕に話しかけてきた。
あの、鉄扇に血がついていて怖いのですけど……
「シュンよ、そちらはどうじゃったか?」
「一人異質化したものがいましたが、僕が撃退しました。他の方は、近衛騎士に守られながら障壁の中にいました」
「情けないのう。いざという時には、貴族も体を張らないとならぬ。どうせ、外からの攻撃にも尻もちをついたりしたのじゃろう」
流石王妃様、よくお分かりです。
そういえば、堂々とした人は下級貴族には少なかったし、そこは貴族としての自覚の差が出たのかも。
そして、外もだいぶ静かになりました。
この分なら、新年の挨拶もできそうですね。




