散歩の六百五十二話 ビックリした報告内容と謁見の終わり
そして、更にビックリすることが発表されました。
「初めに、王太子妃アナの第二子懐妊を発表する。第一子ジェフが生まれて以降子どもができないからと側室を勧めるものもいたが、これで心配無用と言えよう」
「「「アナ殿下のご懐妊、誠におめでとうございます」」」
アナ様もカーテシーをしていて、ジェフちゃんもニコニコ顔で頭を下げていました。
陛下のこの口ぶりだと、しつこく側室を勧めていたのがいるのだろう。
間違いなく、国の将来ではなく自分のことしか考えていない者がやったことでしょう。
ちょっと、ぷるぷるしている気配がしています。
「昨年は、スーザンも無事に王家に復帰できた。法に従った対応で、各辺境伯からも全く問題なかったと報告があった。そして、スーザンの旅を支えた冒険者もいる。なお、スーザンが貴族令嬢だとは知っていたが旅の目的は王都に着くまで知らなかったと断言しよう」
ここでも、陛下が先手を打った。
僕たちがスーの目的を知っていて、取り入るために一緒に旅をしたと思っているのだろう。
間違いなく、いまぷるぷるとしている存在ですね。
そして、宰相にバトンタッチしました。
「僅か一年で新人冒険者からCランク冒険者になり、ハンター称号も三つを数える。各地の問題を解決し、王都でも闇組織に通じた犯罪者を数多く捕らえた。その功績は誠に大である。よって、シュンを法衣子爵、シロを名誉男爵とし、二人に勲章も授ける。併せて、シュンにヴィクトリーの姓を授ける」
「謹んでお受けいたします」
「ありがとうございます」
係の人から貴族の証の短剣を受け取り、更に胸に勲章をつけられました。
多くの人が拍手をする中、何人か歯ぎしりをする人がいます。
間違いなく、闇組織に繋がっているものですね。
しかし、ヴィクトリーの姓を名乗るということは、恐らくスーの実家に配慮したのでしょう。
そして、最大の発表が陛下からありました。
「最後に、スーザンを帝国との会談に派遣する事が決定した。春頃を予定している。随行員として何人かの貴族を派遣するが、ヴィクトリー子爵の派遣は決定している」
おっと、ここで歯ぎしりをしていた人がニヤリとする気配がした。
随行員は何人かという人数を言っていないし、僕が選ばれたということは下級貴族でも選ばれる可能性があるということです。
といっても帝国側からの要請もあるのだから沢山の貴族は連れて行けないはずだし、護衛も限られるはず。
となると、必然的に腕の立つものが何人か選ばれるはずです。
こうして、終始陛下の独壇場で謁見は終わりました。
次は、いよいよ王宮での新年の挨拶です。




