散歩の六百四十話 闇組織の襲撃
ようやく大忙しだった炊き出しも終わったけど、遊撃部隊はまだまだ忙しく動いています。
「じゃあ、シロもお手伝いしてくるね」
「ホルンも行くよ」
「ヴィヴィも!」
シロ達が喜々としてお手伝いをすると言っているが、このお手伝いはフランと馬がやっている遊撃部隊の話であって炊き出しの片づけをする訳ではありません。
更に、王族の護衛を残して他の人たちも遊撃部隊に加わりました。
でも、僕もアオも探索魔法を使って周囲の警戒を怠っていません。
ジュージュー。
「警戒しつつ、シュンさんはクレープ作りですか」
「頑張った人へのご褒美を作るって言っていたからね」
「ふふ、如何にもシュンさんらしいですね」
スーに試食をして貰いつつ、貴族令嬢にでき上がったクレープを配ります。
もちろん、頑張ったこの人にもクレープをあげます。
「わあ、とっても美味しいよ!」
「ゆっくり噛んで食べるのよ」
スーと共に治療のお手伝いをしていたジェフちゃんは、アナ様に抱っこされながら美味しそうにクレープを口一杯に頬張っています。
更には、この人たちにもでき上がったクレープを味わいながら食べていました。
「うむ、即興で作ったのにとても上手いのう」
「流石は『雷撃の料理人』といったところのう」
当たり前って感じで、王妃様と教皇猊下もクレープを上品に食べています。
上品に食べているのに、侍従に指示をしておかわりを要求してきました。
お二人とも、食べるのが早いですよ……
僕が思わず苦笑した、その瞬間でした。
「うん?」
シュイーン、ズドンズドン、ズドン。
僕の探索魔法に何か反応があったかと思ったら、アオが間髪入れずにお得意のエアーバレットを複数放ちます。
放った先は、何と教会の屋根の上でした。
「周囲の警戒を怠るな。どこから攻めてくるか分からないぞ」
「「「はっ」」」
王妃様が扇子を手に、近衛騎士に指示を出します。
よく見ると、シロと馬たちの方でも戦闘が激しくなっています。
戦力を分断させる作戦かもしれないけど、教会側にもまだまだ戦力が残っています。
すると、更に相手側の攻撃が激しさを増しました。
ヒューン、ドンドンドンドン!
「魔法障壁で自身を守るか、迎撃を!」
突然、四方から魔力弾が放たれました。
周囲を確認すると、建物の屋根に敵が潜んでいてそこから魔力を放っているみたいです。
スーは、アナ様とジェフちゃんを魔法障壁で守りつつ放たれた魔力弾を迎撃していきます。
「そこだ!」
シュイン、ズドドドドーン。
「ぐわあ!」
僕とアオは、魔力弾を迎撃しつつ建物の屋根にいる闇組織の狙撃者を倒していきます。
フィーナさんの従魔のパールちゃんやトリアさんなどは、魔法障壁を展開して貴族令嬢を守るのに徹しています。
更に、とんでもない迎撃をする人もいました。
「えーい!」
「ふん!」
ガキーン、ガキーン!
サマンサさんは愛用のメイスで、王妃様は手に持っていた扇子で魔力弾を弾き返すだけでなく闇組織の狙撃者を弾き返した魔力弾で狙っていました。
実際に迎撃しているのだから、本当に凄いよ。
こうして、徐々に闇組織の狙撃者は倒されて行き、十分もすれば魔力弾の嵐も止みました。
それでも、僕とアオは周囲の警戒を続けます。




