散歩の六百三十九話 炊き出しもそろそろ終わりです
周囲を警戒しつつ料理を作っていると、またもや馬が不審者と格闘していた。
「ブルル!」
シュイーン、ドーン!
「ぐはっ。な、何で馬が魔法を……」
ドサッ。
馬目掛けて切りかかった闇組織の構成員は、馬お得意の風魔法で吹き飛ばされています。
うん、闇組織の構成員も、馬が魔法障壁を展開して突っ込まないだけありがたいと思った方がいいよ。
散発的に戦闘も起きているけど全て僕たちが圧倒しているので、炊き出しに並んでいる人も安心しています。
もちろん、炊き出しの列に並んだ不審者も捕まえています。
護送する騎士や兵もかなり忙しく動いているけど、事前準備を万全にしていたので問題ありません。
まだまだ不審者が何かをする可能性があるので、気は抜けませんね。
「ふう、少し人が少なくなりましたね。交代で休憩して下さい」
治療班の方は、かなりの人を治療して列に並ぶ人も少なくなったので、スーは子どもたちを中心に休憩を取らせています。
ホルンとヴィヴィがこっちにやってきてジュースを飲んだり休憩をしていたら、ホルンが焼きおにぎりを焼いている魔導コンロを見ていた。
「このくらいだったら、ホルンもできるよ!」
ホルンはトングを持って、器用に焼きおにぎりをひっくり返していました。
ホルンは料理がとても上手だから、こういう作業も直ぐに身に着けます。
ヴィヴィも料理に興味を持っているけど流石にホルンの腕前には追いつきません。
器用におにぎりをひっくり返すホルンを、ヴィヴィは羨ましそうに見ていました。
「パパ、じゃあヴィヴィは戻るね」
「無理をしないようにね」
ヴィヴィも十分休憩が取れたので、また治療用のテントに戻って行きました。
念の為に、シスターにお願いして全員の飲み物を持って行って貰いました。
ホルンはこのまま残って、僕の手伝いをするようです。
「あー! また変なことをしようとする人がいたよ!」
「ヒヒーン!」
フランはというと、馬に乗って元気いっぱい動いていました。
遊撃班も交代で水分を取っているので、あちらも大丈夫でしょう。
「炊き出し班と列整理にも飲み物を配っていて、俺は大汗をかいているので飲み物を飲まないとやっていられないっと」
アオも爆発型魔導具の分解も終えてこちらに戻ってきたし、炊き出し班もラストスパートです。
こうして、二時前まで炊き出しは続きました。




