散歩の六百三十八話 次々と捕まる不審者
僕とスラちゃんは、周囲を警戒しつつひたすら野菜と肉を切っていきます。
流石は年末最後の炊き出しとあって、並んでいる人の数が半端ないですね。
シュイン、ぴかー。
「これで、膝の痛みが楽になりましたよ」
「おお、これは凄い! 今まで色々な医者に治療してもらったが、こんなにスッキリするのは初めてだ!」
スーたち治療班も、大勢の人を丁寧に治療していきます。
今もスーが冒険者の治療をしているけど、手早く確実に治療をしています。
それに全員の治療の腕が良いので、骨折くらいなら直ぐに治せます。
治療班は、そのままお任せでいいですね。
そして、ある意味一番大変なのが、遊撃班でした。
「あっ、今度は物陰に誰か隠れているよ!」
「ブルル!」
「がっ、何で分かった?」
人の列でスリなどをしている不審者も捕まえているけど、建物の陰からこちらの様子を見ている不審者が沢山いました。
そんな連中も、フランと馬が根こそぎ捕まえまくっていました。
因みに、列に並んでいる不審者の発見は、スライムのリーフを中心として行われています。
軍も鑑定持ちの魔法使いを派遣してくれたので、聖騎士とともに不審者のあぶり出しをしています。
「焼きおにぎり追加です!」
「こっちは、肉サンドです」
昼食の時間に近づいてきたので、炊き出しも主食系がよく出るようになりました。
料理を作れば作るだけ出ていくので、中々休む暇がありません。
しかも、町の人が美味しい炊き出しがあると噂にしていたので、どんどんと人の列が増えていきます。
僕とアオは、ひたすら料理を作っていきました。
そんな中、遊撃班に動きがありました。
「あー! 変な魔導具持っているよ!」
「これは、例の爆発型魔導具だ。魔石を外して起動解除しろ」
「はっ」
シロが捕まえた不審者が持っていたものは、まさにとんでもないものだった。
ガンドフさんの指示で騎士が魔石を外すけど、恐らく他にも闇組織の構成員はいるはずだ。
えーっと、探索魔法を使って……
「三軒先の建物の陰に、誰が隠れています」
「「ヒヒーン!」」
僕の声を聞いた馬二頭が、早速建物の物陰からこちらを見ている不審者に突撃していきました。
暫くは、不審者及び闇組織の構成員が現れては捕まえるといういたちごっこになりそうです。
ガンドフさんはその辺を分かっていて、効率良く周辺を巡回するようにと騎士に指示を出していた。
「うむ、良い感じに闇組織の構成員を捕まえておるな。万が一何かあっても、直ぐに動けるだけの人員が集まっておる」
「これだけの人が集まれば、奴らもどこからともなく現れるでしょうな。それにしても、これほどの人が集まるのか」
王妃様と教皇猊下も、僕たちの対応を見て満足そうに頷いていました。
お二方の手には出来立ての焼きおにぎりがあったけど、周囲を見て指示もしているし、特に問題ないですね。




