散歩の六百五話 屋敷見学の終了
そして応接室に行くと、テーブルとソファーだけのシンプルなものだった。
というか、来客が落ち着く環境であれば問題ないような気がする。
「ここにも絵を飾りましょう。応接室は、屋敷の顔になる場所ですので」
「よーし、シロにお任せだよ!」
来客が多く来る事を考えると、落ち着いた感じの絵が適当だろう。
シロもアオもやる気満々だし、絵は少し多くても良いでしょう。
今度は、自分達の部屋を見る事に。
最初は主寝室です。
ガチャ。
「「「「わあ、大きい!」」」」
貴族当主の部屋だから、本当に大きい部屋だ。
ベッドも大きいし、寝室以外にも応接室や衣装部屋なども完備されていた。
「こちらが、スーザン様のお部屋になります。結婚後は、シュン様もこちらに移って頂きます」
「け、結婚……」
結婚というキーワードが出てきて、スーは思わず顔を赤くしてしまった。
とはいえ、数年後の話だし今直ぐじゃないですよ。
それに、フランたちがいるから一緒に寝る可能性は高いでしょう。
そして、他の部屋割りは、僕、シロ、フランたちにする事に。
フランたちの個別の部屋は、もう少し大きくなってからにします。
その代わりに、使わない部屋の一室を勉強部屋にして勉強を行うようにします。
「食器類も全て取り替えております。その、かなり趣味の悪いものを取り揃えておりまして。その手のものが好きな貴族に、かなりの値段で売れました」
真っ赤や真っ青な皿や、取り扱いの悪い形の皿があったらしく、はっきり言って僕たちも不要です。
しかも、売却価格の方が新品を買うよりも高かったそうです。
そして、みんな楽しみのお風呂に向かいます。
しかし、そこには残念な光景が広がっていました。
カンカンカン、カンカンカン。
「「「「工事中だよ……」」」」
「その、排水関係が駄目になっておりまして、年明けまで工事が続くそうです。それまでは、部屋に備え付けのお風呂をご使用下さいませ。我々も、空いている客室のお風呂を使用させて頂く予定です」
せっかくの大きなお風呂なのに、大規模工事中なのでシロたちはしょんぼりしていました。
お湯は魔導具で生み出せても、排水関係が駄目ならどうしようもない。
ここは、年明けまでのお楽しみですね。
全員で馬車のところに戻ると、馬が退屈そうに寝ていました。
どうやら、屋敷の周りも何も問題なさそうです。
「取り急ぎは、このような感じになります」
「大体のところが見れただけでも、僕としては全く問題ありません」
「課題もありますが、少しづつこなしていけば良いですので」
住む分には問題なさそうで、課題にも対応しています。
こうして、馬車に乗ってヴィクトリー男爵家に戻ります。
帰ったら、画材とか必要なものを頼まないといけないなあ。




