散歩の六十話 次の目的地を決めよう
その日の夜に、今後の事についてスーとシロとアオと話をする事にした。
「そろそろ隣の辺境伯領に行く準備を始めようと思います。先ずは目的地ですが、東と西のどちらの辺境伯領に向かった方が良いかな？」
「季節的にはどちらも穏やかで良いのですが、個人的には東の辺境伯領に向かいたいです。どうもお花見という春のイベントがあるらしいので」
「お花見？ お花見ってなあに、スーお姉ちゃん」
「何でもサクラというとても綺麗な花が咲くらしくて、サクラを見ながら宴会をするらしいですよ」
「おお、お花見楽しみ！」
スーがおずおずと意見を言ってきたけど、とても良い案だと思うぞ。
勿論、シロとアオも大賛成だ。
「じゃあ、目的地は東の辺境伯領で決まりだな。お花見の出来る時期を確認して、間に合うように行程を組むようにしよう」
「おー！」
目的地と楽しむ物が決まれば、かなり前進した気分になるなあ。
しかし、花見か。
この世界のサクラはどんな花なのか、ちょっと興味があるな。
「スー、因みに東の辺境伯領ってどんな所か分かる？」
「とても色々な人種が居ると聞いています。エルフやドワーフもいるらしく、更に珍しい人種もいるそうですよ」
「シロみたいな人もいるの？」
「そうですよ。似た方が沢山いるらしいですよ」
「おお、シロ楽しみだな！」
南の辺境伯領は、人間タイプの人が多かった気がする。
どんな人種がいるのか、少し楽しみだ。
「後は、豊かな土壌なので農業が盛んだと聞いています。香辛料も沢山採れるそうですよ」
「料理の幅も広がるし、新たな料理を開発できるかもな」
そういえば、この世界に来てからカレーは食べていない。
似たような料理があるかもしれないぞ。
「それじゃあ、先ずはいつも通りに依頼を受けつつ、東の辺境伯領について調べよう。目標は、仮の予定で二週間後を出発としておこう」
「おー！」
こうして、次の目標が決まった。
何だか皆ワクワクしているようだ。
その日はベッドに入っても、あーだこーだ言いながら夜が更けていったのだった。
