散歩の五百九十七話 今日はちょっと失敗?
準備もできたところで、みんなで森に入ります。
ただ闇雲に森を歩くのではなく、キチンと探索魔法を併用します。
「えーっと、この先百メートルに反応あり。群れでいるから、鹿かもね」
「じゃあ、バインド魔法を準備しましょうね」
「「「おー!」」」
今日は、フラン達に頑張ってバインドを放って貰います。
前線はシロとアオに加えてケーシーさんとテルマさんもいるので、何かあっても大丈夫。
僕とスーが、三人をサポートします。
そして、鹿まで五十メートルのところまで近づきました。
「「「ピィ!」」」
「おっ、いたね。じゃあ、さっそくバインドを使ってみよう」
「「「やるよ!」」」
フラン達は、事前に魔力を溜めていたので直ぐに魔法を放てます。
やる気満々で、バインド魔法を放ちました。
シュイーン、バシッ!
「「「ピィー!」」」
鹿はこちらを警戒していたのだけど、突然バインドをかけられて、理由がわからずに地面に転げています。
一気にシロ達が動いて、鹿にトドメを刺しました。
アオに血抜きをしてもらっている間に、バインド魔法の反省を言いましょう。
「ホルンとヴィヴィは合格だ。ホルンは一気に五つも魔法を放ったし、ヴィヴィも上手に二つ出来ていたね」
「「えへへ」」
ホルンは天性の魔法の才があるのか、本当に上手に魔法を使える。
ヴィヴィも、魔法を習い始めたにしては上手にできていた。
さて、反省はこの人です。
「フランは、もう少し拘束を緩めないと。別に一つの拘束魔法で複数の鹿を拘束してもいいんだけど、締めつけすぎでバインド魔法で鹿を倒しちゃっているよ」
「うーん、加減が難しいよ……」
フランの魔法は大雑把なので、精密なコントロールが苦手です。
手をニギニギとしているけど、フランはもう少し魔力制御の訓練が必要だね。
ガサガサ。
「ブヒー!」
「今度は上手くやるよ!」
テリトリーに入ったと思ったのか、大きなイノシシが僕たちの前に現れた。
フランはやる気満々で魔力を溜めているけど、果たして結果はどうなるのか。
シュイーン、バシッ。
バキン、メキメキボキボキ!
「ブフゥ……」
ドタン。
「あー! やり過ぎちゃった!」
「骨が折れた音がしたね」
「イノシシ、ピクピクしているよ……」
フランは上手くイノシシの腹にバインドをかけたのに、強くかけすぎでイノシシから不穏な音が聞こえてきた。
バインド魔法でイノシシを絞め殺すって、どれだけ強くかけたんだろうか。
その後もフランは頑張ってバインド魔法を使うけど、中々コントロールが上手くいきません。
弱くかけて逃げられたり、また強くかけて失敗したりと散々な結果に終わった。
「随分と早く終わった。お嬢ちゃん、どうかしたかい?」
「うう、全然上手くいかなかったの……」
村長さんのところにいっても、フランは失敗を引きずって半べそ状態です。
僕たちが慰めても、今日は駄目でした。
すると、村長さんがフランに話しかけます。
「失敗は誰にでもあるよ。失敗を重ねて、段々と成功するんだよ」
「フランも成功する?」
「成功するよ。でも、そのためには頑張って努力をしないとね」
村長さんは、フランの頭を撫でながら優しく語りかけました。
フランもコクリと頷いています。
失敗するのも良い経験だし、その為に訓練があるから、これからも頑張ってやりましょう。




