散歩の五百九十一話 散歩の五百九十話 シロとアオの薬草採取実技
座学も終わったので、さっそく王都郊外の森に移動します。
沢山の人がいるので、歩いて移動します。
「お馬さん、みんなを守ってあげてね」
「「ヒヒーン」」
馬も馬車置き場からついて来たけど、馬上に誰も乗っていないのに普通についてきます。
僕たちにとっては普通の光景だけど、講習生は素直に従う馬に驚いています。
「あの、紐をくれてありがとうございます」
「薬草を採ったお金で返します」
「全然気にしなくて良いよ! その代わりに、沢山集めよう!」
お金のない孤児院の四人は、僕たちから薬草を纏める紐を貰っていた。
僕達は沢山紐を持っているし、恐らく購買で紐を買っても足りなかったはずです。
そんな事を話しているうちに、無事に王都の防壁の門を通過します。
「じゃあ、今日はここで薬草を採るよ!」
「えっ、ここって門の反対側にある茂みですよ?」
「でもね、ごそごそ、こんな感じで薬草があるんだよ!」
「「「えっ?」」」
防壁の門から出る事僅か二十秒、街道の反対側にある小さな茂みからシロが薬草を見つけました。
思わぬところに薬草があったので、講習生は何が何だか分からないみたいですね。
薬草は条件が合致すれば、大抵の場所に生えています。
そして、この場所を選んだのにはとある理由があります。
「ここだと人も沢山いるし、兵隊さんもいるからとっても安全だよ!」
「た、確かに移動も楽だし、門兵も直ぐ近くにいる」
「これは盲点だわ……」
講習生の女性が、門と茂みを交互に見てかなり驚いた表情をしています。
やはり、安全に薬草採取をするのが一番です。
という事で、さっそく薬草採取を始めます。
周囲を、馬二頭と僕が監視をします。
「ごそごそ、これが薬草だよ。葉っぱを十枚集めて紐で纏めるんだよ」
「門に近いところなのに、沢山薬草が生えている!」
「どんどん採るぞ!」
講習生も次々と薬草を見つけて、とても上機嫌です。
成果を実感できて、喜びもひとしおです。
ここで、少し門が暇になったので門兵が僕たちのところにやってきました。
「おっ、沢山集めているな。俺達の目の届く範囲でやってくれると、何かあった時にとても助かるぞ」
「「「はーい」」」
どうやら門兵もこの茂みで沢山の薬草が採れるのを知っているようで、警備の件でも話をしてきた。
何かあっても兵が直ぐに駆けつけられるし、兵にとってもとても安心です。
こうして、二時間かけて沢山の薬草を集める事が出来ました。
「薬草採取は、同じ場所でやる時は一週間に一回がいいよ。場所を変えて行ってもいいよ」
「「「はーい」」」
「じゃあ、帰るよ!」
シロとアオの合図で、僕たちは冒険者ギルドに戻ります。
そして、毎度お馴染みになった光景が今回も起きました。
「ほら、今日の報酬だ」
ドン!
「「「「えー! こんなに貰えるの!」」」」
「これだけ集めれば、それなりの報酬額になるぞ。薬草は常に不足しているからな」
引取所で貰った報酬額に、特に孤児院の四人はかなりビックリしていました。
でも、頑張った証拠でもあるし、これからも頑張って欲しいですね。




