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散歩の五十九話 撃退された逆上犯

 しかし、事態は僕の考えとは別に待っていてくれる事は無かった。


「じゃあね。またね!」

「「またね!」」


 薬草採取を行ったおばさんと男の子と女の子の兄妹とギルド前で別れて、ギルドの直ぐ側の宿に着いた時だった。


「「おらー! お前らが悪いんだ!」」

「「キャー!」」


 ギルドの先で、刃物を持った男二人が別れたばっかりのおばさんと男の子と女の子を襲っている。

 あの刃物を持った男は、ギルドで難癖を付けていた奴らだ。


「直ぐに駆け付け……、シロ、アオ早すぎるよ」

「おりゃー! 待て待て!」


 男を止めようと皆に声をかけていたら、既にシロとアオが身体能力全開にして走り出していた。

 しかし、襲撃犯はシロとアオがたどり着く前に撃退された。


「うりゃー、どっせーい!」

「おお、おばちゃんカッコいい!」

「「すごーい、すごーい!」」


 あのおばさんは見た目はぽっちゃりだが、普段から力持ちだと思っていた。

 そのおばさんが、襲撃犯の持っていた刃物を蹴りで飛ばし、ダブルラリアットで二人を地面に叩きつけ、止めにジャイアントスイングで街道に投げ飛ばした。

 急いで駆け付けたシロとアオに加えて刃物で襲われて悲鳴を上げていた男の子と女の子も、おばさんの武勇を目の前で見て賛辞を送っていた。

 そしてここは人通りの多い通りであり、目の前には兵の詰所と防壁の門がある。

 悲鳴を聞いて直ぐに兵が駆けつけていたし、どっちが刃物で襲ったのかもばっちり目撃されている。

 二人はすぐさま兵に拘束されて、ドナドナされていった。

 因みに、二人は未だに意識を取り戻していない。

 うーん、若干おばさんの過剰防衛とも思われなくもないが。

 とりあえず報告の為に、兵と共にギルドに移動した。 


「ははは、馬鹿だねあの二人は。よりによって、熊殺しを襲うとはな」

「「「熊殺し?」」」


 ギルドマスターは既に辺境伯様の屋敷に帰っているとの事なので、ガチムチの職員と兵と一緒に話を聞いているのだが、ガチムチの職員がなんか物騒な二つ名でおばさんの事を呼んでいるぞ。

 勿論、シロとアオに加えて男の子と女の子も、何のことか分からずに首を傾げている。

 僕やスーに宿のメンバーも、はてなマークが頭の上に浮かんでいた。

 すると、一緒に来てくれた年配の兵がおばさんについてとんでもない事を教えてくれた。


「このおばさんはな、昔は守備兵にいたんだ。戦斧の達人だったんだぞ」

「「「へえ!」」」

「熊殺しってあだ名は、野営中に突如として襲ってきた一匹の熊の背後を取って頸を圧し折った事から付いたんだ」

「嫌だよ、もう。そんな昔の事を持ち出すなんて」

「「「すごーい、カッコいい!」」」


 うわあ、凄い話を聞いてしまった。

 熊の背後を取って、素手で頸を圧し折るとは。

 シロとアオに男の子と女の子は、テンションマックスでおばさんにキラキラとした視線を向けているが、僕達はある意味ビックリして顔が青くなってしまった。

 襲撃犯、命があって良かったなあ……

 すると、おばさんが僕に向かって話しかけてきた。


「シュン、馬鹿な奴がいて悩んでいるようだが気にするな。小さい子もいるが、この街の者が目を光らせている」

「そうだな。ゴブリンと対峙した時に、我が領の兵の強さも感じていただろう。春には別の街に行くらしいが、こちらは気にしなくていいぞ」


 更には年配の兵も話をしてくれた。

 確かにゴブリンと対峙した時も、一緒に戦った兵はとても強かった。

 イレギュラーな事もあるけど、普通の事なら全く気にしなくても大丈夫そうだ。

 僕も考えを固めないといけないな。

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― 新着の感想 ―
う…ウィリー・ウィリアムス!?
[一言] 「うーん、若干おばさんの過剰防衛とも思われなくもないが」 相手は、刃物を持って脅していたので、抹殺していても過剰防衛どころか正当防衛ですね。
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