散歩の五百四十四話 食べられる魚を釣りたい!
バチャン、ぷくー。
「うがー、またお前か!」
その後も魚はつれるのだが、揃いも揃って川ふぐばっかりです。
川ふぐの大きさが違うので、同じ個体が僕の釣り竿に引っかかっている訳ではありません。
「もぐもぐ、お魚美味しいね!」
「おいしー!」
そしてシロ達は、観光船で一緒だった子どももいて一緒に釣った魚を食べていました。
というか、既にスーは三匹目の魚を食べているんですけど。
「おっ、かかった。今度こそ!」
バチャン、ぷくー、シャキーン!
またもや釣り上げた魚が膨らんだけど、今度はトゲトゲが沢山出てきました。
これって、どう見てもハリセンボンじゃないかな?
「まてよ、確かハリセンボンは食材になっていたはず。ここは、貸釣りのおっちゃんに聞いてみよう」
ということで、ハリセンボンを釣り竿につけたまま貸釣りのお店に向かいます。
流石に、膨らんだハリセンボンを素手で持つ度胸はありません。
「わあ、トゲトゲだ!」
「「「トゲトゲ!」」」
ハリセンボンの見た目は、子ども達に大人気でした。
そりゃ、膨らんでトゲトゲが出たハリセンボンは不思議な存在だろうな。
さてさて、僕としては食べられるかが問題です。
しかし、おっちゃんの表情は渋かった。
「うーん、こいつか。身が固くて、食べられないんだよな」
そ、そんな……
確かにフグの仲間は身がコリコリして硬いらしいが、この湖にいるハリセンボンは全く駄目なんだ。
僕は、ガックリとしながらハリセンボンをリリースしました。
「シュンお兄ちゃん、シロが釣ったお魚食べる?」
「いや、自分の力で釣り上げる」
僕は四匹目を釣り上げたシロから情けをもらうかと言われたけど、ここは、自力で釣り上げないと。
僕は再び釣り竿を手にして、湖に投げ入れました。
「おっ、かなりの引きだぞ!」
暫くすると、釣り竿に今までにない引きがきました。
この感触は、明らかに川ふぐやハリセンボンとは違うぞ。
慎重に糸を巻き上げて、っと。
ざっぱーん!
「「「「大っきな魚だ!」」」」
遂に、かなり大きい魚が水面に姿を現しました。
僕の側にきていたシロ達も大興奮です。
ようやく食べられると、慎重に魚を引き上げようとした瞬間でした。
ざっぱーん、バグっ!
「えーーー!」
「「「「あー! お魚がお魚を食べた!」」」」
なんと、僕が釣り上げた魚よりも更に大きな魚が、僕の釣り上げた魚を丸ごと食べて湖に消えてしまいました。
残ったのは、頭だけの魚です。
僕は、泣く泣く魚の頭を湖に投げ入れました。
「ははは、兄ちゃん残念だったな。たまに釣り上げた魚を狙う奴がいるんだよ」
僕の釣りの様子を見ていた貸釣りのおっちゃんも、大笑いしながら何があったかを教えてくれました。
そして、その後も場所を変えても釣れるのは川ふぐとハリセンボンだけで、遂にタイムアップを迎えてしまいました。
「はあ、何で川ふぐとハリセンボンばっかり釣れるのだろうか。魚で魚を釣るのもできなかったし、また食べられなかった……」
「シュンさんは、本当に引きが強いですよね。子爵領の湖と同じでした」
スーに慰められながら、僕はガックリしながら別荘への帰り道につきました。
スーもアヤもアイもかなりの釣果だったし、もちろんシロ達もアオも沢山釣っていました。
うん、どう考えても僕の釣りの運がないのだろう。
僕は、暫く釣りは懲り懲りだと思っていました。




