散歩の四百八十二話 スーの実家に到着しました
王城でとても美味しい昼食を食べて、僕達はスーの実家に戻ります。
実に、十日ぶりの帰宅になるね。
「おー、スーお姉ちゃんのお家も大きいね!」
流石に王城よりかは小さいけど、スーの実家の屋敷もとても大きいよね。
馬車を降りて、早速屋敷の応接室に向かいます。
「おお、お腹が大きいね!」
「ふふ、赤ちゃんがいるのよヴィヴィちゃん」
ガンドフさんとブレッドさんは軍の仕事で不在なので、セーラさんが僕達を出迎えてくれました。
もうそろそろ臨月になるセーラさんの大きなお腹に、ヴィヴィは興味津々です。
「皆さん、お疲れ様です。無事にブローカー伯爵家の件が落ち着いて、お義父様も喜んでいました」
セーラさんが僕達がいなかった間の様子を教えてくれたけど、ガンドフさんは騎士団長でもあるから事件が片付いてホッとするよね。
当面は、目の前の仕事に集中できるでしょう。
「スー、この後はどうするのかしら?」
「明日、大教会に向かいます。聖騎士団の副団長様と、大教会に伺うとお約束しましたので」
「あら、ちょうど良いタイミングですわ。お父様が聖騎士団との定期会議で、明日大教会に向かうと行っておられましたわよ」
おお、タイミングが良かった。
副団長様しか知り合いがいないかと思ったけど、ガンドフさんも大教会にいるとなるととても安心だ。
騎士団長と聖騎士団で、定期的に情報交換をしているのだろう。
「その後は王都近郊の温泉に行って、少し体を休める予定です」
「休める時に休んだ方が良いわよ。特に、スーはこの後とても忙しくなるのだからね」
年明けから、スーは王族として様々な公務に参加する予定だ。
だからこそ、セーラさんも休む事の大切さを教えたのだろうね。
シロ達も、温泉に興味津々だもんな。
「パパ、ヴィヴィはまだ冒険者にならないの?」
「ヴィヴィの体調をみてだけど、温泉に行く前にでも冒険者登録しようか」
「やったー!」
十日間で、ヴィヴィの体調もかなり良くなった。
日々の訓練の進捗具合だけど、薬草採取くらいならもう大丈夫だね。
「ふふ、シュンさんは良い父親になっていますわね。出会ってまだ日が浅いのに、ヴィヴィちゃんはシュンさんにすっかり心を開いていますわ」
「そうなんですよ。ヴィヴィちゃんは、寝るときもいつもシュンさんにべったりですよ」
「ふふ、スーの小さなライバルですわね」
セーラさん、ヴィヴィは僕のことを父親扱いしているので、別にスーと競っているとは思いませんよ。
なんといっても、ヴィヴィはまだ五歳なんですから。
「「「ふわぁ」」」
「あら、そろそろお昼寝の時間ね。お話はここまでにしましょう」
「「「ふわーい」」」
お腹もいっぱいになったのもあってか、フラン、ホルン、ヴィヴィはだいぶ眠たそうだ。
話はこれで終わりにして、僕がヴィヴィを、スーがフランを、シロがホルンを抱っこして応接室を出た。
そして、僕の泊まっている客室に向かう前に、三人はすやすやと眠ってしまったのだった。




