散歩の四百八十一話 王城に行って報告
王城に着くと、直ぐに応接室に案内された。
ヴィヴィは僕の膝の上に乗って、興味深そうにキョロキョロと応接室の中を見渡していました。
ガチャ。
「待たせたな」
「いえ、陛下もお忙しい所申し訳ありません」
「なに、そなた達に比べればなんて事はないさ」
陛下は僕達を待ち構えていたみたいで、直ぐに応接室に入ってきた。
そんな陛下の事を、ヴィヴィは不思議そうに見上げていた。
「パパ、このおじちゃんだあれ?」
「えっと、スーのお父さんだよ」
「おー、スーお姉ちゃんのパパなんだ」
僕とヴィヴィのほのぼのとしたやり取りを見た陛下が、豪快に笑っていた。
「ははは、シュンがパパとはな。これは中々傑作だ」
「陛下、ちょっと笑いすぎです……」
「そうですよ、お父様」
これには流石にスーも苦笑していた。
まあ、雰囲気は悪くないという事で、さっそく話を始めます。
「イレギュラーな事があったとはいえ、二人とも無難に乗り切ったな」
「スーの成長が大きいと感じました。以前なら戸惑った所を、堂々と乗り切りました」
「その話はマルクからも聞いた。余への報告も適切だった」
「恐れ入ります」
沢山の人が手助けをしてくれたとはいえ、スーが頑張ってくれたから僕は裏方に徹する事ができた。
陛下も、娘の成長を実感して満足そうに頷いていた。
「物的証拠が多いから、ブローカー伯爵が喋らなくても何も問題はない。大量殺人はブローカー伯爵個人の罪となるが、闇組織との取引はブローカー伯爵家への罪状となる」
「発掘された大量の人骨に書類も押さえていますし、言い逃れは難しいですね」
「うむ。実際に、ブローカー伯爵はこの世の終わりみたいな表情で供述しておる。大量殺人だけでも、死刑にする十分な罪状なのでな」
ブローカー伯爵夫人と嫡男も、絶望的な表情をして取り調べを受けているそうです。
今更罪の重さを実感しても、何もかもが遅い気がするけど。
「取り調べと押収品の分析は、まだまだ時間がかかる。ブローカー侯爵に関しても同様だ。当面はゆっくりとするがいい」
王都についてからいきなりドタバタだったので、僕としても陛下からの提案はとってもありがたかった。
すると、シロが元気良く手を上げてある事を提案していた。
「シロ、前に聞いた温泉に行きたいな!」
「うむ、あの温泉か。スーには正月の行事まではできるだけ王都にいて欲しいが、直轄領の温泉なら問題ないだろう」
「「「「やった!」」」」
陛下の許可を貰ったので、シロ達は大喜びです。
王都近郊に温泉があるってのも、大きな理由ですね。
ヴィヴィは、何が何だか分かっていないみたいだけど。
ぐー。
「あっ、お腹がなっちゃった」
「ちょうど昼食時だ。話はこのくらいにして、スー達も昼食にするぞ」
「「「「はーい」」」」
ヴィヴィのお腹の音を発端に昼食の話になったけど、もしかしてこのまま陛下と一緒に昼食を食べるのでは?
思わずスーの方を向いたけど、スーも苦笑するしかありません。
こうして、僕達は王族専用の食堂で昼食を食べる事になりました。
王太子殿下の家族とも一緒になったけどね。




