散歩の四百七十七話 アマンダさんの婚約者の到着
そして、陛下の言っていた助っ人が夕方になって屋敷にやってきました。
僕とスーは、応接室でその人と面会します。
やってきたのは、中年男性と僕と同じ位の若い男性です。
因みに、子ども達はシロ達と一緒にお風呂に入っています。
「スーザン殿下、シュン殿、ハーフナー伯爵と申します。この度は、ブローカー伯爵家の件で骨を折って頂き、誠に感謝申し上げる」
「ハーフナー伯爵家四男のエバンです。アマンダの婚約者です。この度は、アマンダの命を助けて頂き、本当に感謝します」
陛下の言っていた助っ人って、この二人の事だったんだ。
ハーフナー伯爵はちょっと白髪の混じった茶髪をビシッとオールバックに決めていて、細身な体型もあってか如何にも知的なダンディーって感じです。
一方のエバンさんはハーフナー伯爵と同じく茶髪なんだけど、こちらは短髪にしていて筋肉質な体型もあってか活動的な印象を受けた。
ここで婚約者の登場は、アマンダさんだけでなく僕達にとってもとってもありがたい。
「ブローカー伯爵領で異変があったと聞いた時、私達は直ぐにでもブローカー伯爵家に行きたかったのですが、陛下より安全が確認されるまで待ってくれと言われました」
「確かに、今朝まで聖騎士団の副団長が調査で残っていましたからね」
「ええ。お昼時に王城より連絡を頂き、ブローカー伯爵領にやってきました」
ハーフナー伯爵様が安堵した表情を見せているけど、本当だったら直ぐにでも駆けつけたかっただろうな。
あれ?
ここでちょっと気になる事が。
「あの、ちょっと気になった事が。嫡男の嫁らしい女性を見なかったのですが」
「実は、あの嫡男の婚約者が中々決まりませんでして。アマンダ嬢と息子の婚約が先に決まった事も、恐らくアマンダ嬢が地下に幽閉された一因かと」
「「あー」」
あのひょろひょろで陰湿っぽい性格の嫡男じゃ、婚約者は中々決まらないだろうね。
僕とスーも、思わず納得しちゃいました。
「私は明日王都に戻りますが、息子はこのままブローカー伯爵領に残ります。陛下も、今はアマンダ嬢の側にいて支えてやってくれと申しておりました」
「本当に助かります。それでは、アマンダさんの部屋に案内いたします」
僕達は、応接室からアマンダさんの部屋に移動します。
すると、ちょうどお風呂上がりのシロ達と子ども達と鉢合わせに。
「シュンお兄ちゃん、また新しい人が来たの?」
「そうだね。アマンダさんのお婿さんと、そのお父さんだよ」
「「「おおー!」」」
シロ達と子ども達は、アマンダさんのお婿さんが来たと知って大盛りあがりです。
シロ達と子ども達と一緒に、アマンダさんの部屋に入ります。
「おねーちゃん、おねーちゃんのお婿さんが来たよ」
「かっこいいおにーちゃんだよ」
「私のお婿さん? って、エバン様!」
元気よく入ってきた子ども達の発言と予想外に現れた人に、アマンダさんはとんでもなくビックリしていました。
「アマンダ、無理に起きなくていい。良かった。生きていてくれて、本当に良かった……」
「エバン様、お会いしたかった。もう会えないと、そう思っておりました……」
ベッドに寝ている痩せ細ってしまったアマンダさんの事を、エバン様が優しく抱きしめています。
二人とも、嬉しい涙の再会ですね。
「うう、良かった。本当に、良かった……」
「そうですね。二人が無事に再会できて、良かったですね……」
「「「???」」」
ハーフナー伯爵様とスーも、ハンカチを手にして涙を拭いていました。
子ども達は、突然の事で何が何だか分からないみたいですね。