散歩の四百七十六話 ちょっと困った
翌日から、アマンダさんと子ども達の治療が終わったら、僕とスーは執務室に行って書類整理を始めます。
「シュンお兄ちゃん、スーお姉ちゃん、頑張ってね」
「シロも、頑張って子ども達に勉強を教えてね」
「シロも頑張るよ!」
シロは、今日も皆に勉強を教えます。
フランとホルンも、復習を兼ねてヴィヴィや小さい子に勉強を教えるそうです。
ではでは、早速始めるとしますか。
ペラペラ、ペラペラ。
「シュンさん、こちらの書類は急ぎですね」
「おっと、この書類も急ぎだ。これは困ったぞ」
書類整理を始めて、まあビックリ。
書類の量はそうでもないけど、急いで処理をしないといけないものが沢山ある。
取り急ぎ、種類別に加えて急ぎかどうかでも書類を分けておこう。
ペラペラ、ペラペラ。
ペラペラ、ペラペラ。
「うーん、スー陛下にどうすればいいか聞いてくれる? 流石にこれはマズイぞ」
「そうですね。私も、まさかここまでだとは思いませんでした」
書類整理はあっという間に終わったんだけど、なんと半分以上が急ぎのものだった。
でも、僕達が勝手にサインをしては駄目です。
勿論、アマンダさんに無理をさせる訳にはいきません。
スーが通信用魔導具をポチポチと操作して陛下に問い合わせをしているけど、果たしてどうなのか。
あの王都に護送されたブローカー伯爵が、なんにも仕事をしていなかったという証拠ですね。
「あっ、お父様から連絡が入りました。えっと、流石にシュンさんと私が代筆するのは駄目だそうです」
「だよね。そんな事をしたら、誰もが書類を偽造できちゃうよね」
陛下からの返信は、至極当然なものだった。
となると、アマンダさんの体調が回復するまで待たないといけないのかな?
でも、そうなると体調が完全じゃない内にアマンダさんに激務をさせちゃうから、それは避けないとならない。
「あっ、追加情報です。業務は当主もしくはそれに準ずる者でないとならない。だ、そうです」
「そうだよね。嫡男とかが執務の代理をする事があるけど、それは準ずる者に該当するもんね」
はあ、陛下からの情報は書類処理に関するルールだった。
うーん、どこかにアマンダさんの親戚とかいればいいんだけど。
「更に追伸がありました。あっ、書類を処理可能な人物を送るって書いてあります」
「となると、その人物はアマンダさんの親類か何かなんだ」
とにかく、その人物の到着を待たないといけない。
僕とスーが色々とできるのは、ここまでですね。




