散歩の四百七十五話 ホッと一息
「では、私は教会の施設に泊まるのでここでお別れだ。何もなければ、明日朝出発する予定だ」
「副団長様も、とっても忙しいですね」
「その言葉、そっくりそのままシュンに返すよ。王都に戻ったら、大教会に寄ってくれ。司教様が、シュン達に会いたいと言っていたぞ」
副団長様、個人的には偉い人に会うのはもうお腹いっぱいです。
ごく普通の冒険者として、やっていきたいんですけど。
でも、この要請を断る事は難しいですね……
「じゃあ、屋敷に帰ろうか」
「「「はーい」」」
教会内を色々と見たので、子ども達も満足していました。
下の子はお昼寝の時間なので、僕達は足早に屋敷に戻ります。
「くー、くー」
「やっぱりこうなったか」
「ヴィヴィも、とっても楽しそうに教会内を見ていましたからね」
まだまだ体力のないヴィヴィは、途中でこっくりこっくりしちゃいました。
抱っこすると、あっという間に夢の中へ。
他にも二人ほど寝ちゃっている子がいるので、スーとシロがおんぶをしています。
疲れて寝ちゃうほど、楽しかったみたいですね。
屋敷に戻って子ども達を部屋に寝かせてから、僕達はアマンダさんの部屋に向かいました。
「これで、大体の事は落ち着きました。溜まっている書類の仕分けは、明日手分けしてやりますね」
「何から何まで、本当にありがとうございます。こうして子ども達も元気になって、ホッと一安心しています」
アマンダさんに子ども達の事と教会の様子を伝えた上で、明日の事を話しました。
僕達が書類にサインする訳にはいかないから、あくまでも仕事をしやすいように分類ごとに纏めるだけです。
なんせ、僕達はあの西の辺境伯様の積み重なっていた書類整理をやったもんね。
ブローカー伯爵家の執務室に入った事もあるけど、西の辺境伯様の時と比べれば全然対した事はありません。
明日の予定も無事に決まったし、僕達はアマンダさんの部屋を出て子ども達の勉強部屋に向かいます。
「文字はこうやって書くんだよ。間違えても、全然大丈夫だよ」
「フランが絵本を読んであげるよ」
「ホルンも読んであげるの」
部屋の中では、シロ達が子ども達に一生懸命に勉強を教えていました。
子ども達も、それぞれのレベルに合わせた勉強を頑張っています。
まだまだ勉強は始まったばかりだし、これから継続して続けていかないとね。