散歩の四百七十話 皆が勉強する為の道具を作ります
チョキチョキ、書き書き、塗り塗り。
チョキチョキ、書き書き、塗り塗り。
「あの、シュンさんは何をしているんですか?」
「楽しく文字を覚えられる為の、こども向けの勉強道具だよ」
僕が作っているのは、よく幼児が文字などを勉強している時に使うものです。
カードみたいに紙を切って、飴の絵を書いて「あ」を左上に書いて「あめ」と下に書きます。
「はい、これは何かな?」
「「「あめだ!」」」
「正解だよ」
早速子ども達に見せると、直ぐに答えてくれた。
よしよし、中々の出来だ。
「とっても分かりやすくて、ためになる勉強道具ですね。これなら、楽しく勉強ができそうです」
「シロも一緒に作るよ!」
という事で、スーとシロも混ざって文字を勉強するカードを作って行きます。
スーは文字を綺麗にかけるし、シロは絵を上手にかけます。
「まだかな、まだかな?」
「次は何かな」
「パパー、次はなあに?」
子ども達も、僕達の製作風景を興味津々で見ていますね。
そして、できたカードは直ぐに子ども達のもとに行きました。
「薄い木の板をブロック状に切って、そこに文字を彫るのも良いよ。子どもは直ぐに物を壊すし、木なら壊れにくいからね」
「あー、確かに子どもは色々なものを壊しますよね。あのジェフちゃんも、小さい頃は色々なものを壊していました」
王太子殿下の息子であるジェフちゃんも、子どもといえば子どもだ。
今日は急ぎだから紙を切って使っているけど、明日からは木を加工して作ってみよう。
ガチャ。
「ふむ、中々面白いものを作っているな」
ここで出発の為に早めの昼食を食べていた王太子殿下が、僕達のいる部屋にやってきた。
そして、僕達が作っていることばあそびの道具をしげしげと眺めていた。
「あっ、お兄様。どうかされたのですか?」
「いや、もうそろそろ出発するから顔を見せただけだ。それにしても、シュンは面白い事を考える。子どもの知育道具として、父上に報告しておこう」
えっと、これは誰でも考えそうな簡単なものなんですけど。
国王陛下に報告するって、とんでもない事になりそうだけど。
「あっ、それは良いかもしれませんね。シュンさんにいくつかアイデアを出して貰って、特許登録した方が良いですね」
「こういうものは、キチッとした管理をして正規品を出した方が子どもの為になる。商務大臣とも話をしよう」
「では、私はシュンさんのアイデアをまとめて報告しますわ」
そして、王族兄妹によって僕の新たな仕事が増えてしまった。
まあ、このくらいなら全然大丈夫だし、幼児教育の為に少し頑張りますか。
「では、私は王都に戻る。忙しそうだから、見送りは不要だ」
「では、ここで。お兄様、お忙しい所本当にありがとうございました」
「色々と助かりました。アマンダさんの治療は任せて下さい」
「「「「ばいばーい」」」」
こうして、王太子殿下はあっという間に王都に戻って行きました。
本当に忙しい人ですね。
「パパ、次は何かな?」
「おっと、ちょっと待ってな」
さてさて、僕達はどんどんことばあそびの道具を作っていきましょう。
子ども達も楽しんでいるし、中々の成果が出ていますね。