散歩の四百六十七話 ブローカー伯爵の罪の証
僕達は、手短にアマンダさんと話をして部屋から出ました。
アマンダさんに、できるだけ負担をかけない為です。
「アマンダは、最低でも二週間は様子を見ないとならない。それ程の重症だ」
「そうですわね。完全に危機を脱していないので、暫く様子見が必要ですわ」
王太子殿下とスーの表情は、とても重く感じる。
それ程、アマンダさんの症状は重かった。
違法奴隷として捕らえられていた子ども達の方が、まだ元気ですね。
「暫くは、おかゆや麦粥とかの流動食ですね。肉も出来るだけ煮込んだ柔らかいものや、野菜をペースト状にしたものじゃないと食べられないですね」
「流石は電撃の料理人だ。直ぐに、病人食を思いつくとは」
「そうですわね。私も治療の事で頭がいっぱいで、料理は直ぐに思いつかなかったです」
まあ、ここは褒められていると思った方が良いですね。
そして、応接室に戻ったタイミングで、トーリー様から衝撃的な報告がなされました。
「ただいま戻りました」
「戻りました」
「殿下、お帰りなさいませ。少々悪い報告があります」
「トーリー、何だ?」
「屋敷の裏手から、侍従の証言通りに大量の骨が出てきました」
「何と!」
どうやら、シロ達には聞かせられなくて小声でトーリー様が僕達に報告してきました。
アリサ様達も話を聞いているみたいで、とても悲痛な表情をしていました。
勿論、僕達も衝撃をもって受け止めていました。
「そうか。ブローカー伯爵によって、ゴミみたいに捨てられたのか。何とも可哀想な事を。調査が終わったら、手厚く葬ってやらないといけないな」
「これによりブローカー伯爵の罪が明らかになったとはいえ、何ともやるせないものです」
王太子殿下とトーリー様も表情は暗いけど、王太子殿下は気を引き締め直していた。
「だからこそ、私達が動かないとならない。トーリー、スー、シュン、ブローカー伯爵の所に行くぞ」
「では、私達は冒険者ギルドに向かいます。冒険者ギルドに何かないか、確認をしてきます」
あの、またもや僕も王太子殿下と同行ですか。
僕が王太子殿下と同行する事に、誰も何も言わないですね。
「シュンお兄ちゃん、シロ達はどうするの?」
「捕まっていた子と一緒にいてくれ。ホルンは、具合が悪い子がいたら治療してくれると助かる。アオはアマンダさんの所に行って、様子を見てくれ」
「「「「分かった!」」」」
シロ達だからこそ、捕まっていた子の心のケアももってこいだ。
それにアオがいれば、アマンダさんの治療も行う事ができる。
アオも、任せろと触手をふりふりしていました。