表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
466/1074

散歩の四百六十六話 意識を取り戻したアマンダさん

 コンコン。


「失礼します。お嬢様のお食事とお着替えが終わりました」

「そうか、アマンダは意識を取り戻したのか」


 ここで侍従が、アマンダさんの朝の対応が終わったと告げてきた。

 どうやらアマンダさんの意識が戻っているみたいで、僕達もホッと一安心です。


「では、アマンダと話をしてこよう。スーとシュンもついてきてくれ」

「お兄様、分かりました」


 あの、何で僕も一緒なのでしょうか?

 トーリー様やアリサ様やクエーサーさんの様に、僕よりも立場が上の人がいますけど。

 そんな事を思いながら、僕は王太子殿下とスーの後をついて行きました。


 ガチャ。


「あっ、昨日のお兄ちゃんとお姉ちゃんだ」

「お姉ちゃんは、まだ起きたばかりなんだよ」


 アマンダさんの部屋に入ると、一緒に保護された違法奴隷の子どもも部屋にいた。

 どうやら、子ども達もアマンダさんの事が心配だったみたいですね。


「皆様、こんな格好で失礼します」

「あっ、起き上がらないで寝ていて下さい。無理はしない様に」


 アマンダさんは相当体力と筋力が落ちているので、無理をさせる事はできない。

 王太子殿下がアマンダさんを制止している間に、スーがアマンダさんの治療を行います。


 ぴかー。


「やはり、体力が落ちていて少し体調を崩していました。私達がブローカー伯爵領にいる間は、毎日治療を行います」

「申し訳ありません。宜しくお願いします」


 アマンダさんは監禁の影響で痩せ細っているから、かなり免疫力が落ちているのだろう。

 この状態で風邪をひいたら、また肺炎になってしまう。

 当面は、治療を含めて絶対安静だ。


「えっと、こちらにおられるのが、マルク・ヘーゼルランド王太子殿下、スーザン・ヘーゼルランド王女殿下です」

「お、王太子殿下に王女殿下!」


 アマンダさんは、またもやベッドから起き出そうというくらいビックリしていた。

 そりゃ、目の前に王太子殿下と王女殿下がいて、更に王女殿下から治療を受けたんだもんね。


「まず、私達もアマンダに謝らなければならない。以前よりブローカー伯爵には違法奴隷の噂があったが、対応が後手に回っていた。その結果として、アマンダを含めて多くの者が被害を受けていたのだから」

「お、王太子殿下、お顔を上げて下さい。私も、告発状を王城に送るなどはできたはずです。そして、私は多くの子を見殺しにしてしまいました。私は、私は父と同罪です……」

「アマンダさん……」


 アマンダさんは、涙ながらに話をしていた。

 きっと、何もできなかった自分自身に腹が立っていたのでしょう。

 スーは、アマンダさんの涙を優しく拭いてあげていました。


「少なくとも、アマンダはブローカー伯爵とは違うと言えよう。そして、私達も現時点でアマンダをどうにかするつもりは全く無い。違法奴隷の子も、当面はこの屋敷で療養となるだろう」

「王太子殿下、本当にありがとうございます」

「アマンダは、自分の体を元通りにする事に専念せよ。当分の間はブローカー伯爵領にスーがいるから、これからの事はスーを通じて連絡する」


 アマンダさんに負担をかけてはいけないので、今日はここまでにしておきます。

 予想以上にアマンダさんの体調が良くないから、僕も様子を気にかけないとならないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ