散歩の四百五十七話 次々と違法の証拠が見つかります
そして、ここぞとばかりにアリサ様とクエーサーさんがブローカー伯爵夫妻の前に出てきました。
「ブローカー伯爵、紅茶偽装の件ではお世話になりましたわ。お陰様で、素晴らしい冒険者と知り合う事が出来ましたわ」
「えっ、あっ、南の辺境伯領の!」
「冒険者ギルドにも、不良品を納入してくれたみたいだね。まあ、それも今日までだろうけどね」
「ぼ、冒険者ギルドの……」
あーあ、今更になってこの場に集まった人の正体を知ったみたいですね。
ブローカー伯爵夫妻は、顔を真っ青にしながらあわあわとしています。
「シロ君は、皆と一緒に地下に行ってくれるかな? 閉じ込められている人がいるみたいだよ」
「えー、それは駄目なんだよ。直ぐに助けないと」
「ご案内します」
そして、シロ達とアオは案内をする侍従の後をついていきました。
きっと、違法奴隷が捕まっているんだろうね。
「スーザン殿下、他の怪しい者は全て捕らえてあります」
「ご、ご苦労さまです。えっと、アリサ様、確認して頂けますか?」
「ええ、任せて頂戴。直ぐに終えてくるわ」
屋敷にいる闇組織の者は、既に兵によって捕らえられているという。
万が一闇組織の者が残っていても、アリサ様にかなうはずはないだろう。
その間に、クエーサーさんが執務室の机の中を調べ始めました。
「おやまあ、これは不正の指示書に加えて違法奴隷に関する書類ですね。スー君、お父様に送ってくれないかな?」
「はい、直ぐに通信用魔導具で連絡します」
「やめろ。おい、やめてくれ!」
おお、通信用魔導具には、スキャナーみたいな機能があるのか。
スーはクエーサーさんが見つけた資料を次々と写し撮って、この国の一番偉い人に送っています。
僕もブローカー伯爵夫妻と息子と執事を監視しながら、執務室内の捜索を手伝います。
「あっ、これは紅茶不正に関する書類ですね」
「あの時確認した紅茶の比率と、全く同じです。これも送信しますね」
うん、今頃この国で一番偉い人の所には、これでもかというくらいの証拠品が送信されていますね。
ブローカー伯爵夫妻の顔色は、青色から真っ白に変わっていってます。
室内が寒い訳ではないし、特に気にしないでおきましょう。
「えっ、これは違法奴隷に関する書類ですね」
「どれどれ? 珍しい悪魔族の子を手に入れたって、どれだけの事をしているんだか。あっ、貴族のリストもあったぞ」
「このリストは、最優先でお父様に送らないとなりませんね」
次々と違法性を示す書類が見つかっていき、書類を転写して送信するスーは大忙しです。
ここまで容疑が固まれば、ブローカー伯爵も言い逃れはできないはずですね。
しかし、ブローカー侯爵家から見つかった謎のメモの件もあるし、念には念を入れて調べないと。