散歩の四百五十三話 冒険者ギルドに向かいます
馬を宿に預けて、僕達は冒険者ギルドに向かいます。
この街の冒険者ギルドは防壁の近くにあったので、宿に向かう途中にチラッと見かけた。
宿からだと、歩いていて十分程だ。
プランとホルンもいるから、十五分は見ておいた方が良さそうだね。
「あっ、美味しそうな果物が売っているよ!」
「お菓子もあるよ」
「えーっと、これは何だろう?」
しかし、いきなり市場で売っている物に食いついてしまった。
うん、もう十分は時間が余計に掛かりそうだぞ。
「スー、寄り道しながら……」
「すいません、これとこれとこれをお願いします」
「はいよ、毎度あり」
うん、スーは即決即断でお菓子を購入していた。
まあ、自分のお金だもんね。
こうして、たっぷり三十分かけて冒険者ギルドに到着です。
「えーっと、荷物運びの依頼が多いよ」
「うーん、同じ名前ばっかりだよ」
「ムホウ商会って書いてあるよ」
皆で掲示板を見ると、荷物運びの多くの依頼がムホウ商会のものだった。
他にも護衛任務とかもあるなあ。
「うーん、何でムホウ商会の依頼がこんなにも多いのでしょうか?」
「他の商会の依頼もあるけど、明らかに数が少ないよね」
僕もスーと掲示板を見ていたけど、依頼の数にだいぶ偏りがあるように見えるぞ。
因みに、市民からの荷物運びや清掃作業とかは他の街と差はなかった。
こういう時は、受付のお姉さんに聞いてみよう。
「お姉さん、こんにちは」
「はい、こんにちは」
受付のお姉さんは、どの街に行っても美人さんだね。
さて、本題を聞いてみよう。
「すみません、ムホウ商会からの依頼がやけに多いんですけど、何か理由があるんですか?」
「実は、昨日から急激に増えているのよ。どうも大量の荷物を運びたいらしいです。勿論、そんな急に冒険者が集まるはずもないのですが……」
おや?
受付のお姉さんも、困惑した表情で話をしてきた。
急にってのは、どう考えてもておかしいなあ。
スーも、早速通信用魔導具でガンドフ様に連絡をしていた。
「現地に行った方が、話が早そうですね」
「そうだな。どう考えても、ちょっとおかしいな」
という事で、早速冒険者ギルドからムホウ商会へ。
ムホウ商会は、なんと領主邸の近くにありました。
僕達は啞然としながらも、建物の陰から様子を伺います。
「普通、領主邸の周囲って家臣の屋敷があるんじゃないのか?」
「普通はそうだと思います。ここは、普通じゃないんですね」
屋敷は、ブローカー侯爵の屋敷と同じく良くわからない調度品が多数庭に置かれていた。
そして、ムホウ商会の店舗ではドタバタしながら荷詰めを行っていた。
フリフリ。
「おっ、アオ行ってくるか?」
「屋敷と店舗の、両方を見てくるって」
「じゃあ、俺は宿に戻るぞ。アオ、宜しくな」
予定では夜だったけど、早めに手を打った方が良いとアオが動いてくれた。
ここは、追加でどんな情報が集まるか待った方が良さそうだな。




