散歩の四百四十三話 ギルドマスターの部屋で話を聞く事に
あっという間に酔っ払いは僕達の前から消え去り、僕達の目の前にはぽかーんとしている三人の少女がいました。
「あの、ありがとうございます」
「私達、冒険者登録したばかりでして」
「登録がおわったら、いきなりあの酔っ払いが声をかけてきました」
三人の少女は、しゅんとして下を向いてしまってた。
人族と悪魔族とエルフという、僕達と同じ種族混合パーティで、正直全員がかなりの美形だ。
見た目はスーとシロの間位の年齢っぽいのだが、冒険者登録したばっかりにしては身につけている装備がかなり良いように見えた。
全員スーより胸が大きいけど。
すると、スーは目の前の人族の少女の正体に気がついたみたいです。
「あの、違っていたらごめんなさい。あなたは、ブルームバーグ公爵家のリアーナ様ではないですか?」
「えっ、どうして私の名前を。あっ、スーさん、いえ、スーザン王女殿下ではありませんか」
おいおいおい、目の前にいる少女がまさかの公爵家令嬢ですか。
しかも、スーが既に王族に復帰した事も知っているようです。
「ふむ、場所を変えた方が良いだろう。四階に戻るか」
「そうね。ギルドマスターの執務室なら、誰も入って来ないですわね」
ここで、ゴーキさんとアリサ様の機転で僕達は王都ギルドマスターの執務室に行く事になりました。
というのも、公爵家令嬢どころか王女が冒険者ギルドにいると分かって、周りの人がざわざわとし始めたからです。
混乱を避ける為に、僕達は急いで四階に上がってギルドマスターの執務室に入りました。
「す、すみません。まさかこんな事になるとは思いませんでした……」
「あの酔っ払った馬鹿のせいだから気にするな」
「そうね。あの感じだと、馬鹿は前から登録を済ませた冒険者に声をかけて金を取っていたはずよ」
ギルドマスターの執務室に入って直ぐに、リアーナさんが僕達に頭を下げてきました。
直ぐにギルドマスターが取りなしをしたけど、確かにあの酔っ払いがそもそもの原因だもんなあ。
「私はブルームバーグ公爵家のリアーナと申します。今年十歳になります」
青髪のロングヘアのポニーテールで、騎士服に軽甲冑を身にまとったリアーナさんは、まんま剣士タイプみたいです。
でも、貴族令嬢の雰囲気がバンバン出ていますね。
「グリムワールと申します。助けて頂きありがとうございます」
悪魔族で銀色の短髪に羊みたいな大きな角があり、魔法使いの衣装を着ています。
悪魔族といいつつ、見た目は儚げな少女です。
「エアリスといいます。本当にありがとうございます」
緑色のセミロングヘアに少し長めの耳、動きやすそうな軽装に胸当てをしていて槍を持っています。
こちらも、大人しそうな感じがしていますね。
「二人は私の屋敷に勤める侍従の娘で、今回冒険者登録する際に一緒についてきてくれました」
「お嬢様は、困っている人を助けたいと冒険者登録されました」
「勿論、貴族令嬢としての勉強をする合間に冒険者活動を行います。基本は王都周辺で活動予定となります」
まあ、公爵家の貴族令嬢だから、屋敷から動ける範囲で活動するのだろうな。
まあ、こればかりは将来の事もあるので仕方ないですね。




