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散歩の三百七十六話 孤児院を守っていた女神様の木像

 数日は、ひたすら廃材の搬出と清掃が続きました。

 残念ながらここまでで出た全ての廃材が再利用出来ないので、僕は料理を作るしかやる事がありません。

 でも、職人や冒険者が大量に食べるので、仕込みの段階からかなり大変です。


「よーし、このまま引き倒せ」

「「「せーの」」」


 バリバリ、ドーン。


 孤児院の解体も順調に進み、天井は全て剥がし終えて今は壁の解体に入っています。

 昼食も食べて元気満タンの職人の威勢の良い声が響く中、何やら急に声が止んで突然作業が止まりました。


「おーい、あんちゃんも来てくれ」


 現場作業を指揮している冒険者からも声をかけられたので、僕はトリアさんと一緒に孤児院に向かいました。


「おう、コイツが屋根裏にあったぞ」


 冒険者が手にしていたのは、小さな女神様の木像でした。

 かなり古そうですが、しっかりと原型を留めています。


「もしかしたら、この木像が孤児院を守っていたのかもな」

「今まで孤児院が倒壊しなかったのも、きっとこの木像のお陰ですわね」


 トリアさんも、この木像のお陰で孤児院が倒壊せずに残っていると思ったらしい。

 せっかくだから綺麗にしたいなと思ったら、アオが触手を上げて任せろって言っています。


「おお、凄いな。表面の汚れだけ溶かしているぞ」


 なんとアオは、木像に触れると表面の汚れだけ綺麗にしていました。

 新品みたいな綺麗さが蘇り、冒険者も思わずビックリしています。


「もう少し屋根裏を確認してから作業を再開するぞ」

「じゃあ、僕はシスター長にこの女神様の木像を持って行きます」

「あっ、私もお供します」


 僕はスーにも軽く話をしてから、トリアさんと共に屋敷に戻りました。


「「「わーい」」」


 屋敷の庭では、今日も元気に子ども達が遊んでいます。

 環境の変化にも直ぐに順応していて、僕達もとても助かっています。

 そんな事を思いながら、僕とトリアさんは孤児院の仮住まいになっている離れに入りました。


「おや、シュン君ではないか」


 シスター長の部屋に入ると、司祭様とシスターがシスター長の見舞いに来ていました。

 僕はシスター長に木像を差し出すと共に、木像がどこで見つかったかを話しました。


「この女神様が、私達をお守り下さっていたのですね」

「とても大切な女神様の木像ですな。今は教会で預からせて頂いて、孤児院が完成したらお返ししましょう」

「それが宜しいですわ。場所が変わっても、女神様が子ども達を見守ってくれますわ」


 シスター長と司祭様の話で、直ぐに教会に木像が預けられる事になりました。

 きっとこれからも、この小さな女神様の木像は孤児院の人々を見守ってくれるだろうね。

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