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散歩の三百三十六話 辺境伯様の配慮

「ケーシー、テルマ……」

「「うぅ、うぅ……」」


 スーは、未だに涙が止まらないケーシーさんとテルマさんを優しく抱きしめていました。

 ケーシーさんとテルマさんはどちらかというと闇組織の被害に巻き込まれているのに、加害者家族の一員にもなっているという状況で、非常に難しい立場におかれています。

 そして、スーは二人を抱きしめながも、もう一つの事を気にしていました。

 

「辺境伯様、ケーシーとテルマは収穫祭に参加出来ないのでしょうか?」


 ケーシーさんとテルマさんは、今までスーと共に収穫祭で行われる結婚式の準備を一生懸命にやってきました。

 しかし、準備のやり直しをする直接のキッカケになった広場での爆発事件に、実の兄が関わっている可能性もあるのだ。


「二人の収穫祭の参加を許可しよう。兄の起こした不祥事を妹が、精一杯償ったという事にもなる。まあ、情状酌量の余地にも繋がるだろう」


 成程、そういう手を使うのか。

 ケーシーさんとテルマさんが収穫祭を手伝う事により、減刑を判断する材料にもなるのか。

 普段は抜けているけど、やっぱり辺境伯様はとても頭がキレるね。


「辺境伯様、ご配慮頂きありがとうございます」

「「ありがとうございます」」

「うむ」


 スー達が辺境伯様に頭を下げているけど、取り敢えずの事は決まった。

 後は、明日明後日の収穫祭を無事に終える事が最重要課題ですね。

 ここでやる事はもう無いので、僕達は屋敷に帰りました。


「ただいま戻りました」

「お帰りなさい。二人とも、大変だったわね」


 屋敷に戻るとエミリア様が出迎えてくれて、ケーシーさんとテルマさんの事をぎゅっと抱きしめていました。

 エミリア様は恐らく二人の兄の事や辺境伯様の下した事も知っていたのだろうけど、抱きしめるだけで何も言いませんでした。

 ケーシーさんとテルマさんもエミリア様の優しさに触れて、再び涙を流していました。


「スー、今日は二人と一緒に寝てあげてね。シロちゃん達にも話をしてあるわ」

「はい。私も二人を見守ります」


 多分最悪の事は起きないと思うけど、それを防ぐためにもスーとシロ達の存在はとても重要です。

 ここは、スーに二人を頼むしかないですね。

 アオも、今日はスー達と一緒に寝るそうです。


「シュン、これからの事を話さないとならない」

「悪いけど、執務室まできてくれないか?」


 そして、僕は辺境伯家の人々と再び話をする事になりました。

 とにかく、これ以上闇組織を暴走させないためにも、どうにかしないといけない。

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