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散歩の二百九十三話 偽装登録

 全員が落ち着いた所で、ギルドマスターが改めて話し始めました。


「あの馬鹿は隅に置くにして、二人は全く問題がないな。あの馬鹿の言い分を聞く限り、大方寄り親の命令だから一緒にいざるを得なかったって感じか?」

「「はい……その通りです……」」


 うん、スーの事もあったからこの辺の事情は何となく分かるなあ。

 しかも貴族主義で人族主義という、とっても面倒くさい寄り親だから苦労は尚更でしょう。


「私達は、家族も含めて特に獣人差別などはありません」

「しかし、デイン様の指示に従うしかありませんでして……」

「貴族の上下関係ってのは、本当に面倒くさいよな。俺もこんな立場だから、前にもこんな面倒くさい貴族を相手にした事があったぞ」


 ギルドマスターが腕を組んでうんうんと頷いているけど、巻き込まれたケーシーさんとテルマさんはたまったものじゃないよね。


「デイン様は、昔から、その、自分を大きく見せる癖がありまして、今回の冒険者活動も大きな功績を上げて獣人を見下すという考えで始まりました」

「正直に言いますと、来年の騎士試験に受かるだけの実力がないので、冒険者ならどうにかなると思っていたみたいです」


 うーん、この話もどこかで聞いた話だぞ。

 ケーシーさんとテルマさんの話を聞いたスーは思わず苦笑しているけど、一部の王都の貴族には本当にとんでもない奴がいるんだな。

 と、ここで男性冒険者を運んでいた受付のきつね獣人のお姉さんが個室の中に入ってきました。


「ギルドマスター、調査結果が判明しました。冒険者を叩き起こして尋問した所、同じ名前の全く別人に多額の金を渡して、似た顔と髪型に仕上げて冒険者登録したそうです」

「偽造登録か。似た顔と同じ名前なら、チェックをすり抜ける事ができるか。これは冒険者ギルドだけではなく、領主様にも話を通さないといけないレベルだな。領主様の屋敷に使いを出してくれ」

「畏まりました」


 予想以上の結果に、ギルドマスターも顔をしかめていました。

 どう考えても、カスアク伯爵家がこの冒険者ライセンスの偽造登録に絡んでいるとしか思えない。

 偽造登録を聞いたケーシーさんとテルマさんの顔色が悪くなってきたが、すかさずギルドマスターがフォローしました。


「ケーシーとテルマは気にしなくて良い。これは、どう考えてもカスアク伯爵家の問題だ。二人や二人の実家に対して何かする事はない。真偽チェックも問題なかったしな」


 これはギルドマスターの言う通りだよなあ。

 あくまでもカスアク伯爵家の問題だから、ケーシーさんとテルマさんに責任はない。

 しかし、また面倒くさい事になったなあ。

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