散歩の二百七十三話 有り難くない二つ名?
辺境伯様から僕達が倒したオークキングの査定が出たと言われたので、スーとシロ達と一緒に冒険者ギルドに向かいます。
シルビアさんはオーク退治時は観客の避難誘導だったので、別で褒賞が入るそうです。
「あっ、またマークが増えたよ」
「オークキングを討伐していますので、オークハンターの称号が付与されております」
これで冒険者カードに記載された称号が三つ目になっちゃった。
冒険者ランクはDランクのままだから、実質Aランク扱いになったんだな。
「フランちゃんとホルンちゃんは、冒険者ランクがEランクにアップしましたよ」
「「やったー!」」
フランとホルンの冒険者ランクが上がるのも予定通りです。
きっちりと依頼をこなしていたし、オークキング討伐を抜きにしても順当と言えましょう。
飛び上がって喜んでいるフランとホルンの為にも、後でご褒美を買ってあげましょう。
因みに、フランとホルンは称号二つ持ちなのでCランク相当になります。
パーティとしてはBランク相当になりますが、今はそこまで大きな依頼を受けるつもりはありません。
「けっ、ガキが何騒いでいるんだ」
「どうせ、お小遣い稼ぎ程度の依頼に成功しただけだろう」
「ははは、お嬢ちゃん達は可愛いでちゅね。がははは」
と、ここで僕達に絡んでくる酔っ払いが現れます。
何だか南の辺境伯領以来久々に馬鹿な冒険者に絡まれたけど、どうやらフランとホルンの事を言っているみたいです。
肝心のフランとホルンは冒険者ランクが上がったのが嬉しいので、酔っ払いには全く気がついていません。
「おい、俺達を無視するな!」
「はいはい、ここまでですよ」
「何だテメーは! スライムまで俺の邪魔をする気か!」
と、ここで一人の酔っ払いが激昂したので、僕が間に入っていきます。
うーん、この手の酔っ払いには何を言っても無理なんだよなあ。
僕の所にはアオもやってきて、馬鹿な酔っ払いを見上げていました。
ヒソヒソ。
「おい、あの酔っ払いが電撃の料理人に喧嘩を売ったぞ」
「ああ、チャンピオンにも喧嘩を売ったし、酔っ払いは生きて帰れないぞ」
あの、周りの人が僕の事を何だか物騒な二つ名で呼んだんですけど。
アオのチャンピオンは武道大会のチャンピオンだから分かるけど、電撃の料理人ってなんですか。
「すみません、こいつら拘束しても良いですか?」
「はい、ギルド内の風紀を乱しているのでやっちゃって下さい」
「へん、やってみろ!」
受付のお姉さんからも許可を貰ったので、取り敢えず目の前の馬鹿には退場してもらいましょう。
バリバリバリ。
「「「ギャー!」」」
僕とアオの電撃で、酔っ払いはあっという間に沈黙しました。
痺れて動けない酔っ払いを、ギルドの職員が引っ張っていきます。
これから厳しい沙汰が待っているんだろうなあ。
そして、ついでに受付のお姉さんに二つ名の事を聞いてみよう。
「簡単ですよ。シュンさんは料理人である上に電撃魔法をよく使うので、そういう二つ名がつきました」
「あの、僕は料理人ではないんですけど……」
僕ががっくりとしていると、受付のお姉さんは更に衝撃的な事を言ってきました。
「因みにスーさんは聖なる女帝です。治療の腕は抜群ですが、怒らせるととても怖いので」
「あ、あはは。聞かなかった事にしておきます」
スーはシロと一緒にフランとホルンのレベルアップで喜んでいて、受付のお姉さんの話を聞いてなくて良かったよ。
確かに、スーは怒ると目茶苦茶怖いからなあ。
週末の読書のお供に、お兄ちゃんと妹ちゃんと自分探しの旅もよろしくお願いします