散歩の二十七話 スーの様子
「シュンか、丁度いい所にいた」
薬草の取引が終わった所で、ギルドマスターが受付から声をかけてきた。
何かあったのだろうか?
「なに、ちょっとした話だ、直ぐに終わるぞ」
「分かりました。スーとシロはちょっと待っていてね」
「「はーい」」
宿のメンバーとお喋りしている二人に声をかけて、僕はギルドマスターと共に個室に入った。
「先ずはスーの様子だが、外にいた時は問題なかったか?」
「ええ。シロとも一緒に宿に宿泊している人とも話をしていましたよ。少し笑顔も見えました」
「そうか、それは良かった。殴られた跡もあったから、少し気になっていたんだ」
「僕も気をつけて見ていました。無理をしている感じではありませんでした」
シロと笑っていた所は本心からだと思うし、誰かを避ける様な事もなかった。
それを聞いたギルドマスターは、安心した笑みを僕に見せていた。
「そうか、それは良かった。今回の事件の内容が内容なだけに、今後もたまに話を聞かせて貰う」
「はい、僕もできるだけ様子を見るように気をつけます」
「うむ、頼むぞ」
ギルドマスターも僕の言葉にコクリと頷いた。
そういえば、あの二人の様子はどうなんだろうか?
「ギルドマスター、あの二人は結局どうなりましたか?」
「辺境伯領の兵が連れて行って、取り調べを行う事になったよ。ギルドとしては、一ヶ月のライセンス停止処分が有力かしらね」
「そういえば、あれだけ騒いでいても一応初犯扱いになるんですね」
「一応ね。とはいえ、あのタイプの人間は反省もせずに必ず同じ過ちを繰り返すわ。近いうちにライセンス剥奪になるでしょうね」
ギルドマスターは、二人が何か事件を起こすと確信していた。
僕も、あの二人が何か良くない事を起こすと思っている。
二度と関わりたくない人だな。
「相手が貴族だから、何かあったらシュンでは荷が重いでしょう。もし、何かあったら私に相談してね」
「はい、わざわざ有難う御座いました」
僕はギルドマスターと別れてギルド内に戻った。
そこにはスーと頭にアオを乗せたシロが待っていた。
「シュンお兄ちゃん、ギルドマスターとどんなお話をしていたの?」
「薬草採取をしている時のスーの様子を聞いてきたんだよ」
「わざわざすみません。治療も受けて食事も取れたので、だいぶ調子が良くなりました」
スーはちょっと困った様な表情をしていたが、朝見た時よりも調子は良さそうだ。
きっと薬草採取が楽しかったのもあるのだろう。
でも、今日は早めに休ませてあげないとな。