散歩の二百六十三話 祝勝会の始まり
「皆様、お待たせしましたわ」
「「「おおー、すごーい! カッコイイ!」」」
辺境伯様との話がひと段落すると、ビシッとドレスを着た辺境伯夫人様が部屋に入ってきました。
青を基調としたドレスに髪もばっちりとセットしていて、貴族として申し分ない服装です。
でもシロ達よ、流石にカッコイイという感想はないと思うぞ。
そして、ここでゲストが登場。
フィーナさんのお兄さん夫妻と、ベビーカーに乗ったアーサーちゃんが部屋に入ってきました。
アーサーちゃんのベビーカーについている筒状の魔導具が、例のアオが改良した魔導具なのかもしれません。
「皆様、お飲み物をお取りください」
「シロはジュースだよ」
「フランもジュース」
「ホルンも」
侍従が飲み物を配っているけど、ここで僕は重要な事に気が付いた。
「スー、お酒は駄目だよ。この後、戦いがあるかもしれないしね」
「はい、流石に分かっていますよ」
スーも、ジュースを手に取りながら分かっていると苦笑していた。
勿論、僕もジュースを手に取ります。
「今日は武道大会の優秀者を迎えての祝勝会だ。皆も気楽に過ごして欲しい。では乾杯をしよう。乾杯!」
「「「乾杯!」」」
辺境伯様の音頭により乾杯され、祝勝会がスタートです。
シロ達は、早速食事スペースに駆け込んで行きました。
ずっと美味しい食事を食べる為に、ずっと間食を我慢していたからなあ。
お皿一杯に侍従に料理を盛って貰い、子ども用スペースにお皿を持ってきました。
「お肉美味しい! お魚も美味しいよ!」
「誰も取らないんだから、ゆっくりと食べるんだよ」
「「「はーい」」」
念の為にシロ達に食事について注意しておくけど、シロ達は既に口一杯に料理を頬張っていました。
まあ、このまま大人しく料理を食べてもらう分には大丈夫でしょう。
「あうあう」
「ほほほ、めんこい子じゃのう。辺境伯家も安泰だのう」
「ええ、元気いっぱいでとっても可愛い孫ですわよ。私も嬉しい限りですわ」
格闘家と辺境伯夫人様は顔見知りらしく、アーサーちゃんを微笑ましい顔で見つめていました。
スーはというと、シルビアさんとフィーナさんと守備隊の女性と共に話をしながら食事をとっていました。
時々笑い声が聞こえてくるから、何かの話で盛り上がっている様です。
アオも、パールと一緒に料理を食べながらスライム同士で話をしている様です。
「しかし、シュン達がいてくれて本当に良かった。普段武道大会に集まるレベルの者では、オークキングは倒せなかっただろう」
「一体ならともかくとして四体も現れましたし、確かに厳しい戦いになったかもしれませんね」
「ただ、お陰で闇組織の不正な関与は判明した。王城にも連絡しているし、例の嫡男の貴族家も徹底的に捜索を受けているそうだ」
僕はというと、いつの間にか辺境伯様と話をしていました。
闇組織の活動が激しさを増しているので、この先も充分に注意が必要ですね。




